ニッケイ新聞 2008年2月20日付け
アマゾン熱帯雨林に属し森林伐採が激しい三十六郡で面積の大小を問わず農地の再登録と耕作状況の点検を行うと農地改革院(Incra)が十八日、明らかにした。同地域の地主は、四月二日までに要求書類をIncraへ提出するよう指示と十九日付けエスタード紙が報じた。
書類提出を怠った地主には、農地の賃貸や抵当、売却を禁じるという。書類は前所有者からの土地購入契約書、測量図、農地内申書、農地のGPS(全測位)システム・データ、耕作責任メモ(ART)など。再登録の対象となる土地所有者の召喚は三月三日、官報で公布される。
特に外国人によるラランジャ(名義賃貸人)を使った広範囲の土地買収を調べるのが、Incraの狙いらしい。最近注目されるのは、バイオ燃料生産のため大規模な農地買収で大資本が動いていることだ。
問題の三十六郡は、書類不備によって伐採抑制を試みるようだ。再登録によって農地の合法化手続きが終わるまで、数々の締め付けがある。これだけ多数の書類提出を求めながら、これらの書類は農地の所有権認定ではないという。
一方、関係者は、熱帯雨林地域の農場検地が必要であることを認めた。しかし、Incraが求める農地再登録の規定は厳しく、履行できる生産者は殆どいないと見ている。これまで無法地帯であった同地域にGPSシステムを持ち込み、容認誤差は五十センチ以内といっても即時対応は困難と思われる。
外国人の農地所有制限を行っても、不法伐採を行うのはブラジル人だ。Incraが前時代から抜け出したのはよいが、複雑で精密なシステムへと先走りすぎる。生産者と農地占拠者の摩擦に環境問題も一度に解決しようとして、トラブルを起すことが憂慮される。