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ラニーニャで荒れる天候=南東伯での雷発生36%増=50日間に全伯で22人落雷死

ニッケイ新聞 2008年2月22日付け

 二十一日付けエスタード紙が、今年はわずか五〇日間で落雷による死者が二二人におよび、雷の発生率も高いと報じた。
 国立宇宙調査研究所(Inpe)が発表したものだが、落雷により二二人死亡という数字は、昨年の一~三月の死者が一八人、通年で四六人であったことを考えるとかなり多い。サンパウロ州での死者が半数という。
 Inpeでは、今年の雷の発生が多いのは、ラニーニャ現象が主因だと説明。太平洋の赤道付近で海水面の温度が下がり、変化をきたした空気の流れのせいで南東伯の天気が荒れ易くなっているという。南東伯では今年に入ってから二〇万七〇〇〇回の雷が発生しているが、昨年同期は一五万二〇〇〇回であったのと比べ、三六%多い。また、サンパウロ州での一月中の雷の発生は一〇万八六七五回で、昨年同月の八万一九二〇回と比べ三二%余り多い。今年の気温が平年よりやや高めであることも、降雨量の増加と雷の発生件数増加につながっているという。
 Inpeによると、国内九州(南東伯と南伯、ゴイアス州、南マット・グロッソ州)だけで年間五〇〇〇万回の雷が発生しており、この数は世界一。雷発生率上位一〇市はサンパウロ州と南リオ・グランデ州に集中している。サンパウロ州では、サンパウロ市東部とABC地区、カンピーナス市周辺とヴァレ・ド・パライバ周辺が雷多発地帯。発生率全伯一位のサンカエタノ・ド・スル市は二〇〇五~六年の統計で一平方キロ当り一二・一回。市としては一平方キロ当り八・一回で二一位のサンパウロ市も、東部のペーニャ、イタケーラ、ヴィラ・プルデンテ地区は一平方キロ当り一一回。発生率上位一〇市中、サンパウロ州の四市が集中する大サンパウロ市圏で雷が多いのは、海岸方面からの冷たい空気が地面からの放熱や高層ビル、大気汚染によって温まった空気の下に潜り込み、寒冷前線が発生した状態を作り出すためで、強い雨も降り易い。
 死者の多くは周りに障害物のない農村部で雷に打たれているが、十八日午後サンパウロ州で落雷に遭い、一命を取り留めた主婦は、地面に叩きつけられ失神。気付いた時には手や顔がこわばり、顔もゆがんでしまっていたという。あたかも鞭打ちにあったようだったという主婦だが、一緒にいた婦人は即死だった。同日、サンパウロ州内の男性も落雷にあって死亡した。