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「ええじゃないか」好評=上演すでに4ヵ所 非日系観客にも

ニッケイ新聞 2008年2月28日付け

 「どの公演も超満員。大成功です」――。今月十三日のブラジリアを皮切りに、国内各地で公演を行っている『劇団1980』(柴田義之代表)の上演作品「ええじゃないか」が好評を博しているようだ。同劇団に同行した演劇評論家の七字英輔(しちじえいすけ)さん(61・大分県出身)が二十五日、途中経過を報告した。
 二十五日までに、ブラジリア、ベロ・オリゾンテ市、リベイロン・プレット市、ミランド・ポリス(弓場農場)の四カ所で開催。ベロ市は来場者の七割以上が現地のブラジル人。緊急に補助観覧席を用意したという弓場農場での公演では、三百キロ近く離れた街から駆けつけた人もいたという。
 同作品はカンヌ映画祭グランプリ受賞監督・故今村昌平監督のシナリオを、同劇団主宰の劇作家・藤田傳(でん)氏が、演劇用に脚色、舞台化したもの。ブラジル日本移民百周年記念事業の一環。
 『劇団1980』は藤田傳氏を中心に、一九八〇年に創立。〇四年には、ブラジル・パラグアイで素劇「あゝ東京行進曲」を公演、各地で大きな反響を呼んでいる。「四年前のお客さんが今回も多く駆けつけています」。
 「ええじゃないか」とは、江戸末期に東海道や畿内を中心に全国に波及した民衆運動。仮装で「ええじゃないか」と連呼しながら踊り、集団で町々を練り歩いた現象。故今村昌平監督が八一年に映画化した。
 「迫力ある音楽に多くの来場者が感動している」。そう七字さんが語るように、舞台音楽は、韓国の国民的音楽家、金徳洙(キム・ドクス)の弟子でもある元一氏(ウォン・イル)が担当。自身が主宰する伝統韓国音楽グループ、風の峠(パラムコッ)のメンバー六人が日本的なメロディを演奏、観衆を魅了している。
 「倒れても倒れても立ち上がっていく民衆のエネルギーが作品のテーマ。ダンスやラップもある。同時にユーモアを交えて、現代の夫婦のあり方までを問う内容になっている」。七字さんはそう称え、同日帰路についた。
 【今後の公演日程】
 二十九日=マリンガ(カリル・ハダッヂ市立劇場)、三月二日=クリチーバ(グァイーラ州立劇場)、五日=フロリアノポリス(アデミール・ローザ州立劇場)、九日=サントス(コリゼウ劇場)、十二、三日=サンパウロ(SESCピニェイロス)。入場料は十レアル(十二歳以下、六十五歳以上は五レアル)。詳しくは各地公演会場まで。