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移民百周年資料館建設へ=沖縄総会=行事やめ資金作りに全力=母県、伯政府からも支援

ニッケイ新聞 2008年2月29日付け

 県人社会の記録を後世に――。ブラジル沖縄県人会(与儀昭雄会長)の定期総会が二十四日、サンパウロ市の同会館で開かれ、席上、同会が百周年事業の一つとして沖縄文化センター(ジアデマ市)に建設を進める「移民百周年記念資料館」計画に対し、母県からも協力を得られる見込みであることが発表された。同会でも今後資金集めのためのイベントを順次開催し、八月の県人移住百周年式典までの完成を目指している。
 総会にはサンパウロ市、州内各地をはじめ、パラナ州、ブラジリア、カンポ・グランデなど遠方を含む二十七支部から百二十人の代表が出席。午前十時半から午後五時過ぎまで、一日がかりで行なわれた。
 先亡者への黙祷後あいさつした与儀会長は、昨年四月から州内外の二十二支部を訪問、六月には山城勇総務委員長と訪日するなど、国内、母県で記念祭典の計画説明と協力要請を行なってきたことを報告。「百周年は皆が一つになって頑張らないと絶対にできないこと」と述べ、あらためて協力を呼びかけた。
 同会の昨年度収支は収入約四三万三七〇〇レ、支出約三一万一七〇〇レで、約一二万レを繰り越し。今年度予算は約二七万二〇〇〇レで、いずれも承認された。
 八月二十四日の記念式典(会場・文化センター)を中心に十四記念行事と四記念事業を計画している同会。資金捻出のため、今年は例年実施している十七の定例行事を取りやめ、リッファなど四つの資金造成イベントを実施することが承認された。
 同会百周年実行委員会では、さらに、会員に対して年会費(三十五レアル)相当額の協力を求めていく考えだ。
 「移民百周年記念資料館」は当初、「百周年記念塔」として企画されたもの。二階建て、総床面積四百五十平方メートルの館内に笠戸丸で渡伯した県人移民三百二十五人の氏名を刻印するほか、県系人の系図のデータベースを置く。そして最上階に「万国津梁の鐘」のレプリカを設置する計画だ。
 予算は百二十万レアルで、式典までの完成をめざす。今回母県からの支援見通しが立ったことで、実現に向けはずみとなりそうだ。同事業ではまた、連邦文化省から系図調査の費用として三十万レアルが出ることが決まっている。与儀会長は「お祝いだけでなく、何か形に残るものを」と意気込みを表す。
 なお、四事業のうち、「新会館建設」は今年の実現はあきらめ、今後長期的に検討を続けていくとしている。また松堂忠顕副会長からは、記念行事の柔道交流について母県の支援が得られなかったことから、赤嶺尚由評議員の協力を受け、県柔道連盟、日伯修好百周年基金など両国で資金捻出の方策を探っている段階と報告があった。
 山城総務委員長からはこのほか、那覇市の姉妹都市サンビセンテなど各地で、百周年を起点とした記念植樹を検討していることなども明らかにされた。
 総会ではまた、県人会と文化センターの合併にともなって現在新定款の検討を進めていることが執行部から報告された。センターの創立会員からは、「まずは百周年に力を注ぎ、定款問題はその後にしてもいいのでは」との意見も出た。
 このほか、カンポ・グランデ沖縄県人会の玉城ジョルジ会長が、式典で知事など母県代表者が来伯した時には、「ぜひカンポ・グランデを公式訪問してほしい」と要望。サントアンドレー支部から、〇三年の総会で決議された会員住所録作成を百周年事業として行うよう要請があり、執行部も六月を目標に発刊準備を進める意向を示した。