ニッケイ新聞 2008年2月29日付け
【クリチーバ発】パチン、パチン――。将棋の駒を置く音が会場に響き渡る。同時に各所から喜びと悲しみの声が沸きあがり、棋士たちは対局のひとときを楽しんだ。
パラナ州クリチーバ市のクリチーバ文化援護協会で二十四日、第三十七回老中戦将棋大会(ブラジル将棋連盟主催・奥田定会長)が行なわれ、ベレン、カンポ・グランデ、リオ、マリンガ、ロンドリーナ、クリチーバ、サンパウロ州から国内各地から約百人の棋士が参加する盛況ぶりを見せた。
将棋連盟がクリチーバで大会を開くのは、二〇〇〇年十一月の最強者戦以来、約七年ぶり。先亡者への黙祷、大会総裁の山脇ジョージ同協会会長、奥田会長に続いてあいさつした木谷請海同大会実行委員長(同連盟クリチーバ支部長)は、「サンパウロから多くの人が参加してくれて嬉しい。今日一日を楽しんで、人生の思い出になるような名勝負を繰り広げて欲しい」と激励した。
その他、佐藤宗一在クリチーバ総領事、西森ルイスパラナ州議員、河村俊和同連盟前会長、烏山久夫審判委員長たちもあいさつを行った。
前年度優勝者の浅野大介さんから、奥田会長に優勝旗を返還。続いて八十歳以上の高齢者に記念品が贈られた。
午前十時頃から、各組で総当たりの予選開始。予選終了後はトーナメント方式で順位を決めていった。
老中杯(五、六段)を獲得したのは、ベレンから参加した高島トシオ・ロベルトさん(54、二世)。日本で六月に行われる第二十一回アマチュア竜王戦全国大会に参加することが決まっている高島さんは、「日本語が読めないから頭で覚えての練習ばかり。日本は強い人が多いけど、ブラジル代表としてがんばりたい」と抱負を述べた。
参加者は日頃の練習の成果を発揮し、勝負を楽しんだ。午後七時頃までの約九時間、会場内には駒の音が鳴り響いていた。
マリンガから参加した小原康宏さん(71、和歌山)は「今回は調子が悪くて、予選通過にならなかったのが残念だった。でも、勝っても負けてもみんな楽しめたのが良かったね」と大会を振り返った。
大会結果は次の通り(順に一位から三位)=【老中戦(五、六段)】高島ロベルト、吉田国夫、野見山康則、【四段】権藤弘毅、番匠外喜雄、中野秀敏、【三段】矢坂直澄、奥山貞夫、尾谷文夫、【二段】木谷ジョー、岩田英一、桑原昭夫、【初段】平良チアゴ、上田功、貴志保夫、【親睦戦A組(四段以上)】稲村シゲキ、小原康宏、山田考由、【親睦戦B組】フランシスコ・ソアレス・ネッド、結城建次、立岩清。(敬称略)