ニッケイ新聞 2008年3月4日付け
金融活動委員会(Coaf)は三日、犯罪組織PCC(第一首都コマンド)が二十カ月の間に六百三十億レアルを六百八十六口座で銀行取引したと、三月三日付けエスタード紙で報じた。銀行取引では二千六百七件の企業と個人を違法取引の容疑で調べたところ、七百四十八件が同犯罪組織に関係した容疑を立件した。銀行取引の二〇%は十万レアル以上の金額を動かし、サンパウロ市とPCC幹部五十人が服役する刑務所のある地方都市との間に集中していた。
Coaf調査は、二〇〇五年十一月から二〇〇七年七月の間に同組織と直接または間接に関係した企業や個人を洗った。捜査過程で二百五十二人のメンバーからなる組織が、背後に控えていることも浮上した。
銀行取引の大部分はPCC幹部五十人の口座を中心に動き、CPF(所得税申告番号)は国税庁によって無効や差し止めとなっているものが使われた。PCCが、麻薬取引から金融取引へシフトしたことが伺える。多くの企業や個人が、PCCの資金提供で違法金融活動を行っている。
PCCのアンテナは、ミナス・ジェライス州やセアラー州などに広範囲に張り巡らされている。バイアやリオ、マラニョン、北リオ・グランデ、マット・グロッソ、南マット・グロッソ、パラーなどの諸州へも、一千万レアルが送金され手を広げつつある。
PCCはカイシャ2(裏帳簿)も有し、実体はわからない。メンバーの親族や側近などラランジャ(名義賃貸人)を使って取引している部分も加えると、その規模は計り知れない。
サンパウロ市のペルエイロ(簡易バス)は、大部分がPCCの配下にある。ペルエイロとPCCの金銭的関係を断ち切ろうとサンパウロ市当局は、目を光らせるが、組織は容易に尻尾を出さない。
Coafがひんぱんにマネロンの抜け道として指摘を受けたのは、突発的で奇妙な銀行取引や不動産取引、ファクトリング(小切手売買)、遺族年金ファウンド、クレジット・カード管理会社など。
PCCが次に食指を動かしているのは、証券取引所と商品先物市場、貴金属市場、骨董品市場、宝くじ市場の五カ所と、Coafは見ている。特に狙っているのが、当り番のくじ券購入である。これが新しいPCCの標的といえる。