サンパウロ市の大気の状態悪化=5年続けて改善の後に=600キロ余も旅する汚染物質
ニッケイ新聞 2008年3月4日付け
降り注ぐ太陽と青空といえば、いかにも健康的なイメージ。しかし、そんな光景が見られた二月二十三日にサンパウロ市ヴィラ・マリアナ区では高濃度のオゾンを観測など、五年間改善が進んできたサンパウロ市の大気汚染が再び悪化の兆候を見せている。
二日のフォーリャ紙によると、昨年、サンパウロ市内二四カ所の観測点中、少なくとも一カ所で大気の状態が悪いと判断された日数は、オゾン濃度によるものが六七日(一昨年は四六日なので、四五・六%増)。その他、一酸化炭素や二酸化窒素、埃や煙に含まれる汚染物質により大気の状態が悪かった日も七日間で、大気の状態が悪いとされた日は全体で五四%増えたという。
また、サンパウロ市上空の大気の汚れは、風向きによって、南はサントス沖数百キロまで、北西方向なら南マット・グロッソ州にまで届くなど、サンパウロ市から六百キロ以上離れた地域にまで運ばれているという事実が、衛星から送られた赤外線映像によって明らかにされた。
この大気状態の悪化には様々な要因が考えられるが、国内経済の成長に伴い、燃料の消費や車の販売数が増えたことも大きい。
この二月には車の総数が六〇〇万台を超えたサンパウロ市だが、ディーゼルの消費は一年で六・三一%増など、排気ガスによる大気の汚れは容易に減らせない。ディーゼルの硫黄分の削減、天然ガスへの転換なども方策の一つだが、天然ガスの供給問題や、ナンバープレートによる市内乗り入れ制限がかえって車輌数の増加につながったなど、ある意味で対策に行き詰まってきていると考える専門家もいる。地下鉄やバスなどの公共交通網の拡大・充実など、市内を走る車両数を減らし、汚染物質の発生を抑える対策の必要も言われている。
場所別に見ると、イビラプエラ公園、シダーデ・ウニベルシターリア、ノッサ・セニョーラ・ド・オー、サンターナなどで大気の汚れが頻繁に観測された一方、カンブシやセントロでは、大気の状態が悪いという記録はなかった。また、晴れた日の午後はオゾン濃度が高いなど、地形や日照など、諸条件によって状態に差が出てくる。汚染のひどかった月は、一月、九月、十二月だった。
また、マンチケイラ山脈のサンフランシスコ・シャビエルのように、清浄な空気で知られる地域でも、大気の状態が変化し、植物相に異変が見られるという。この地域は、大サンパウロ市圏とリオ市近郊双方からの汚染物質が流れてくる可能性もあり、広域での大気の観測、分析が必要とされている。
対策は各機関、地域の協力が必要で、環境浄化技術公社(Cetesb)は、奥地にも観測点を増やし、総合的な資料の収集、分析を行おうとしている。呼吸器疾患のある人は、自衛手段を講じる必要もある。