ニッケイ新聞 2008年3月5日付け
アモリン外相は三日、コロンビア軍によるエクアドルの領土侵犯を非難すべきことだと声明を発表した旨四日付けエスタード紙が報じた。Farc(コロンビア解放前線)のナンバー・ツー、レジェス氏殺害のためコロンビア軍が隣国領内へ侵入したことを南米各国も非難した。エクアドル政府は、コロンビアと国交を断絶、国境を封鎖した。ラテン・アメリカ諸国が、コロンビアとの外交関係撤回を検討し始めたことで、コロンビアのナランホ将軍は、ベネズエラによるFarcへの資金援助を訴えた。
米州機構(OAS)はコロンビアとエクアドル問題を討議するため四日、ワシントンで緊急会議を召集した。ブラジル政府は同会議に調査委員会を立ち上げ、我田引水の論争を展開する関係国に事実の説明をさせるよう求めた。
レジェス氏の隠れ家をコロンビア軍へ通報した米国の諜報機関も、追求されることになりそうだ。レジェス氏は宇宙衛星中継の携帯電話を使っていたことで、居場所が諜報機関によってキャッチされた。
外相によれば、領土侵犯は隣接する南米諸国、特に弱小国にとって平和を脅かす重大な罪科だから、それなりの償いを要求するという。ブラジルはOASを通じて紛争解決の仲介を採る用意があり、南米に米国やEUの介在は不要であると干渉を退けた。
OAS緊急会議では、コロンビア軍とFarcの間に、レジェス氏殺害を巡って何があったのか事実の確認を行う。領土侵犯という不祥事防止のために、納得できるコロンビア政府の保障と謝罪があって然るべきだと外相が述べた。
コロンビア政府はエクアドルに対し謝罪済みというが、傍若無人な侵犯振りは潜在的圧力をかけ、隣国の国家主権を無視したもの。過失の重大さを理解していないことだという。
OASにはショヒ代理大使が出席し、紛争の仲介役を務める。ルーラ大統領はことの成り行きに関心を持ち、コロンビアのウリベ大統領とエクアドルのコレイア大統領へ、平和解決に向けブラジルは仲介の労を惜しまないと電話した。その直後にエクアドルが国交を断絶し、コロンビア大使を国外追放に処した。