ニッケイ新聞 2008年3月5日付け
南日伯援護協会(在ポルトアレグレ)が、財務面で困窮している現状を会報二月号に会長名で書いていたので紹介しよう。運営資金不足で悩んではいるが、弱音は吐かず、将来を見据え、決意を新たにしていることがうかがえる▼同協会は、一九八一年の創立。九〇年に当時のJAMIC(国際協力機構の前身)から事業委託を打診されて、その受け皿になり、事業を遂行してきた。当初、医療、文化、教育事業に関わる経費は全額支給されて、同援協にはほとんど負担はなかったのであるが、〇二年頃から状勢が変り始めた。助成金が減り、自己負担分が増えた。負担の比率は年々多くなり、〇七年は四三%に達した▼ドル高のころはまだ減額の影響はさほどでなかったが、ここ三年ほどはレアル高が顕著で、自己負担率の高騰はまさしく危機である。協会は近年ほかにINSSとの訴訟の弁護士費用、治安対策費用などの出費があって苦しんでいるそうだ▼八〇年代初頭、協会が創設されたころは、いわゆる日本政府が送り出した移民の「事後の世話」の観点から、助成が行われていた。年月を経て「もう移民も自立しただろう」という考え方に加えて、日本政府の予算そのものが窮屈になってきた。助成金を削ったのは、今後は自助努力しろ、ということだ▼実際には移民の子弟が出稼ぎに行き、老いた親の世話が再び必要になっているのが現実である。協会を閉鎖するわけにはいかない。今、安定した運営方針が模索されている。(神)