ニッケイ新聞 2008年3月6日付け
四日朝八時四五分ごろ、サンパウロ市南部の変電所の変圧器が爆発し、六九万戸、二七〇万人が約一時間の停電を経験した。この停電は、車の流れなどにも大きな影響を与え、サンパウロ市の抱える弱点のいくつかを露呈させた。
五日付け伯字紙によると、サンパウロ市モルンビーの変電所で変圧器の爆発が起きたのは、四日八時四五分ごろ。爆発に続き、煙も観察された。七分後には同変電所内の他の変圧器も機能を停止。サンパウロ市内二一地区とタボン・ダ・セーラ、エンブーの二市で停電が起きたほか、地下鉄が七分、コンゴーニャス空港のチェックインサービスが一五分、信号が一時間弱機能しなくなるといった混乱も招いた。
国家電力庁(Aneel)によれば、八時五七分には、停電地域への他の変電所からの送電が開始されたものの、電力系統が正常化したのは九時三九分。この間、電力会社には、七千件の電話(通常は一日五千件)がかかったという。
停電そのものは一時間足らずで解消したが、停電により信号が機能しなくなったことや、マルジナル・チエテで起きた事故で、負傷者の搬送のために軍警のヘリコプターが車線を占有したことなどで、九時半現在のサンパウロ市内の渋滞は一五五・八キロにも及び、一週間の内に四度も渋滞記録を書き換えるという事態も生じた。交通渋滞は、十二時半になっても一〇三キロと通常以上の数字が記録された。
変電所で起きた爆発については、Aneelが調査中だが、パウリスタ電気エネルギー送信会社(Cteep)によれば、変圧器の点検は一週間前に行ったばかりで、点検時には何の問題もなかったという。
専門家の中には、電力消費のピーク時でもない時間に爆発が起きたことで、民営化以来、Cteepの職員数は減っており、点検作業などが手薄になっている可能性ありとする声もあるが、その一方、サンパウロ市の経済的な成長その他に構造的な成長が伴わず、電力供給システムなどにも限界がきているのではないかとの声もある。サンパウロ市は七〇年代に市内のインフラを見直すことが出来たのに、それを怠ったために、そのしわ寄せが出始めているというのだ。
また、交通渋滞についても、六〇一万台を超える車が市内を走行している上、車の流れが一部に集中する現状を変えない限り、悪化の一途をたどる可能性が強い。流れの拡散、公共交通の拡充などの方策を採らないと、サンパウロ市の流れは停まり、経済的な競争力を失う懸念する声もある。