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もし強盗に入られたら=日系男性、経験から〃指南〃

ニッケイ新聞 2008年3月7日付け

 「まずは自分が落ち着くこと」。二月初旬にサンパウロ市南部にある自宅に強盗に入られた日系二世男性(64)が、いざという場合の心構えを指南するために来社した。
 週末、男性が朝九時に起きて台所にいくと、前夜に裏庭から忍び込んで待っていたと思われる拳銃で武装した強盗三人組が突然現れ、金を要求した。
 「ジャポネースだから日本からお金を持ってきているだろう」などと、座布団や枕まで全部引き裂いて家捜しを始め、二時間半がかりであらゆる金目のものを同男性の車に積み込んで奪っていった。
 その間、心がけて会話をできるだけ続けた。「最初はネルボーゾだった相手も、だんだん落ち着いてきた」という。現金がなかったため銀行カードをとられ、暗証番号を正直に言うかどうか迷ったが、正しく教えた。「あとから四回、聞き直された。間違った番号だったら言えなかったかもしれない」と振り返る。
 話をする中で「次の日までに五千レアルを用意しろ」と要求されたが二千にまで値切った上、「警察には知らせないから二度と襲わず、他の仲間にも知らせないでくれ」と交渉し〃男と男の約束〃を交わした。
 「私が殴られて頭から血を流しているのを見て、妻がすごいショックを受けてしまった」と家族の心配をする。
 「一番恐ろしいのは復讐ですから」。翌日、約束の時間に金を用意したが取りに来なかった。数日後に警察から、盗難車として届けてあった車がファベーラで見つかった、と連絡が入り取りに行った。さらに数日後、夜十一時頃、強盗から電話が来て、深夜一時半に指定された場所の木の下に現金を置いてきた。
 翌日、また電話がきて「もう三千用意しろ」と要求してきたが、「男と男の約束は守った」と断固として拒否し、電話番号も変えた。「おそらく復讐はないと思う」とし、「同じことをするのは薦めないが、相手と落ち着いて話すことが大事」とアドバイスした。