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自然が悲鳴をあげる前に=アマゾン計画4年で31%実行=地域社会も参加意識を

ニッケイ新聞 2008年3月8日付け

 乱伐防止対策の一つ、火の弓作戦部隊がロンドニア州にも到着した七日、伯字紙は、四年前に打ち出されたアマゾンの乱伐対策は計画全体の三一%しか実行されていないと報じた。
 最近のアマゾン乱伐対策だけを見ていると、政府も少しは本腰を入れて対策に乗り出したように見えるが、実は四年も前に一三省庁が協力してアマゾン対策を練り、三二の政策としてまとめている。この三二の政策中、昨年までに実行されたのは、土地使用についての指導五〇%、乱伐の監視とコントロール二九%、経済活動の支援二四%のみ。全体としては、ほぼまたは完全に実行三一%、一部実行三四%、未着手三四%という。
 この数字は、非政府組織(NGO)グリーンピースがまとめたもので、これらの政策には、ここ三カ月でやっと実行に移され始めた農業資金融資政策の改革なども含まれている。
 二〇〇五~〇七年の活動について、グリーンピースは、アマゾンの乱伐や消失を表す指標の低下や自然保護区やインディオ保護区の創設、拡大は見られたが、乱伐地域での土地の不法入手への補助金削減は一部のみ実現、それ以外は、目に見える効果は出ていないと評価。このような結果については、計画全体の責任を負う官房長官のイニシアチブ、あるいは関心のなさが主たる原因としている。
 この見方は、環境省によって指名された専門家グループによる評価とも一致。同グループは、インフラへの政府の経済活性化計画(PAC)が、全体計画推進にどの位影響するかの評価も必要と説いている。
 実はこのPACの適用も官房長官の裁量下だが、今年度予算も未承認の中、着手さえされていない計画の数々を誰の音頭で実行に移すのか、その資金の配分はどうなるのかを、地域社会も見守る責任がある。
 乱伐と地球温暖化の関係はしばしば言われているが、科学者たちが〇五年のアマゾン地域の大干ばつと地球温暖化が関係あると見ていることも七日のエスタード紙が報道。海面温度や生態系の変化が広域の水や風の流れに変化をもたらすなど、地球の動きは大きな関連をもっている。
 人間も地球の一部であり、地球との共存が必要。遅すぎたと後悔しないためには「政府に任せるだけでなく、地域社会の協力が必要」とのNGO担当者の声に耳を傾ける必要がある。