まだまだ高い学校中退率=生活扶助だけでは効果薄=壊せない社会格差の壁
ニッケイ新聞 2008年3月11日付け
八日のエスタード紙に、低学歴者の雇用は減少し、高校以上の学歴がないと就職も難しいという記事が出たが、翌九日のエスタード紙には、生活扶助(ボルサ・ファミリア)を受けながら、小中学校にあたる八年生までを終了できないケースが増えているとの記事。貧しい家庭では、子供たちの収入を当てにしている様子が窺われる。
九日の記事によれば、生活扶助対象家庭の多い自治体二〇〇中、四五・五%にあたる九一の自治体で小中学校の中退率が上昇中。二〇〇二年と〇五年との比較だが、〇五年の中退率が二〇%を超える自治体は一三。最も中退率が高かったのは三四・四%のバイア州サウデ市、中退率が最も上がったペルナンブコ州クピラ市では八・六%から三二%に上昇。両市の生活扶助対象家庭は六一・九%と五九・六%。七一・六%が生活扶助を受けるピアウイ州アカウアン市でも中退率は四・四%から一二%に上昇した。
この数字は、生活扶助が十五歳までしか受けられないこととも関連する。北東伯など、貧しい地域では、就学開始年齢は他の地域より三年程度遅れ、十五歳になっても八年生を終っていないケースも多い。
また、家族当りの扶助額も、最高一一二レアルで、子供が三人以上就学している場合、ほかの子供は、中退させて働かせるか、就学を遅らせることになる。この場合、中退させるなら十五歳に近い年齢の子供からということになり、生活扶助を受けるためだけに学校に通っている子供も相当数いるという。
エスタード紙の記事でも、十四、五歳から夜学に移り、働きながら家計を助ける子供たちのことを報じているが、現実には、昼間働いて疲れてしまい、夜の授業は休みがちという生徒も多い。三五人のクラスに二~三人の生徒しかこないということもあるという。
これに対し、十六歳以下の労働者のいる企業やフェイラでは罰金を科し、続けて四日以上休んでいる生徒は訪問するといった取組みで就学率が戻ってきたのは、先述のクピラ市。〇六年にこの取組みを始めて以来、改善が見られている。
十日のエスタード紙には、国が十五歳以後の就学促進政策の必要を認め、今年から、十五歳から十七歳までは三〇レアルを一家族二人まで扶助する事とし、家族当りの扶助最高額も一七二レアルに引き上げたと報道。国連の「子供の権利宣言」七条の「教育を受ける権利」という考えが、貧しい家庭では浸透していないことも指摘された。
すべての子供が、親や地域の経済力には関係なく基本教育を受けられるような社会保障体制確立にはまだまだ時間がかかりそうだ。