ニッケイ新聞 2008年3月12日付け
【既報関連】二十七日の定期総会で行われる執行部選挙を目前に、ブラジル日本都道府県人会連合会の定款改正問題が改めて取りざたされている。改正には臨時総会が必要であり、それを招集するには十人の県人会長の署名があれば可能。改正されれば結果的に、会長候補に名乗りをあげている宮城県人会の中沢宏一会長に益するだけに、その行方に注目が集まっている。
そこで、臨時総会開催を目指して署名集めをしていると目される三人に事情を聞いたが、三人とも自分はやっていないと否定した。
一月の代表者会議の席上で、兵庫県人会の尾西貞夫会長から定款改正案が出され、岩手県人会の千田昿暁会長も賛同し、二月の代表者会議で決議を取ることが決定された。しかし、二月の代表者会議で執行部側は「〇九年の総会までにしっかりした改正をする」と提案し、定款改正の検討委員会を作ることを決めた。
この結果に対して、早急に定款改正を求める賛同者は臨時総会を企図している。開催には、会員の五分の一以上の提案が必要。主な改正内容は、顧問の投票権をなくすことと、執行部シャッパを現在の十四人から八人程度に減らすことの二点だ。対抗シャッパに十四人を集めることが難しいため、定款改正することで対抗馬が出やすくなる。
尾西会長は「中沢さんが来て、四、五日前に定款改正案に署名した。その時には五人ほど署名していた」と中沢会長が署名集めをしていたという。「シャッパの人数を変えるのは難しいが、顧問の投票権を取るのは簡単な話。定期総会前でもできるのでは」と早期開催を求めた。
当の中沢氏に確認すると、「(定款改正案に)私もサインしたが署名集めは行っていない」と否定した。「社会常識として考えても顧問の投票権はありえない」と考えを示し、「執行部は定款改正を積極的にやっていない。これは怠慢だ。総会前には臨時総会をしたい」と意気込んだ。
もう一人の提案者の千田氏も署名集めは「私じゃない」と否定したが、「署名はした」という。「顧問の投票権を取ることが一番。二月の代表者会議でも言われたように、『会費を払っていない県人会は投票権がない』とされているのだから」と話す。「選挙のためではなく、よりよい県連をつくるために開催するのであって、定期総会後でも問題ない」と考えを語った。
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今からでも定期総会前の臨時総会開催は間に合うのか。県連定款を確かめてみると、臨時総会の開催は五分の一以上の会員(十県人会)の決定で招集できる。その開催要請状を県連会長に渡せば、十日以内に招集可否を返答する必要があり、否定した場合でも要請者によって招集できると明記されている。
その後、臨時総会の開催通知を十日以内に告示するする必要がある。県連会長の判断期間と告示期間を合計すると二十日間かかる。十二日現在では、執行部の協力がないかぎり、今月二十七日の定期総会までに臨時総会開催を実現するのは難しい情勢だ。
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一方、中沢会長は、松尾県連会長に対して申し込んでいた公開討論会を取りやめ、十二日午前十一時から宮城県人会会館で記者会見を行うことを決定した。
中沢氏は「呼んでも出てこないから」と取りやめるとの意向を示し、「新聞でも取り上げられて社会的な問題になってしまった。ケジメとして記者会見をする。代表者会議では話せなかった自分の意見を述べたい」と語った。
公開討論を要請して以来、松尾県連会長からは一度電話連絡があり、「二人だけで話し合いたい」との提案があった。それに対し中沢氏は拒否し、公開討論の姿勢を貫いた。その後、連絡がないためにこれ以上進展はないと判断し、記者の質問や疑問に対して答える形で会見をするという。