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コラム 樹海

ニッケイ新聞 2008年3月12日付け

 たいへんなレアル高である。〃レアルの実力〃といった言葉が適切かどうかわからないが、現状が実力どおりなのか、よくわからない。ただドルが弱くなっていることはいえるだろう▼日本から来たばかりの人は、外で食べる日本食の値段が想像以上に高いことに驚く。来伯前、交換した円は確かにドルに比べて価値があると感じたが、ブラジルに来てレアルに換えたら意外に少なかったと実感している。レアルを通常使っているわたしたちも周囲の物の値段の上がりをひしひしと感じている▼ブラジルから外国に輸出している企業にとっても、予測をはるかに上回るレアル高の事態により、為替の差損をどう埋め合わせるかで頭が痛いと聞く。これは一般家庭と違い文字通り死活問題である▼先年、日本の円高が極まった一九八〇年代の後半、シルバーコロンビア計画により、定年退職した中高年がスペインに相当数移住した。この人たちがいま困っているという。理由はレアル高と同様なユーロ高(ドル安)。当時月額十万~十五万円あれば悠々暮せるといわれ、実際そうだったのだが、昨今は当時の二倍ほどの円がなければ暮らしが成り立たなくなったそうだ▼ブラジルも移住先に好適じゃないか、と一部で取り沙汰された。当時なら治安問題はともかく金銭的にはスペインよりは安く暮せたはずだ。現在はそういかないことがはっきりしている。恐るべきはレアル高である▼年初の会議所の金融部会の会員の予想数値はどうやらはずれそうだ。(神)