ニッケイ新聞 2008年3月13日付け
先週から、伯字紙にヴィア・カンペジーナという言葉が頻繁に出て来ている。その行動範囲は全伯一七州に及び、土地なし農民運動(MST)などと連動した動きをしている。
このヴィア・カンペジーナというグループは、三月八日の「世界女性の日」にちなんで行動を起した世界的なグループで、女性が中心。ブラジルではMSTが窓口ともなっている。
グループの動きが表面化したのは、四日の南リオ・グランデ州(RS)でタルマン農場へ侵入したことから。紙・パルプ製造の多国籍企業ストラ・エンソが国境地帯の土地を買い占め、ユーカリ栽培を進めていることへの抗議。この行動は多国籍企業が国内の土地を買い占めたりしていることへの警告となったが、この翌日にはRSの道路を封鎖して警官隊と衝突。ゴム弾による負傷者も出た。
このため、翌六日にはブラジリアで女性への暴行に対する抗議行動を行うと共に、RS内三カ所でデモ。また、ペルナンブコ州(PE)ではMSTらと共同で、サンフランシスコ渓谷開発公社(Codevasf)の本部に侵入。同じPEの製糖工場が労働者たちを立退かせ、その家屋を破壊したりしたことへの抗議としての放火も起きた。他州でもデモなどを行った。
さらに七日には、サンパウロ州内陸部のモンサント社の実験農場に侵入し、遺伝子組み替えトウモロコシの農場や苗床を破壊。パラナ州内五市で多国籍企業シンジェンタへの抗議行動も行った。
これらの行動に共通しているのは、農地改革要求やアグリ・ビジネス反対。遺伝子組み替え作物普及に関しては、安全性への疑問と共に、少数企業が種の販売権を持つことにより、農業が企業経済の手中に置かれることへの危惧を訴えた。
また、八日にはマラニョン州(MA)のVale社カラジャス銑鉄所(FGC)に侵入。FGCがVale社の森林計画の促進本部であることと、同農場で木炭の生産が行われているため。ベレンとブラジリアを結ぶ道路を封鎖し、構内で火を放ったりもした。
さらに、十日にはVale社が経営権を持つミナス州の鉄道を十二時間に渡って占拠。Vale社が一端を担っているアイモーレスのダムが近隣の土地二〇〇〇ヘクタールを水没させ、近郊の町の下水施設を使用不能にすることへの抗議。サルバドールでは、昨年四月に提出した農地改革への要求が実行されていないことへの抗議も行った。
最後の十一日は、MAとトッカンチンス州の境のエストレイト水力発電所などに侵入し、水力発電による環境への影響や、立退かされた住民への補償やインディオ保護区への配慮などを要求。政府との交渉が実現するまで立退かないとしている。この日は七州で同様の行動がとられた。