ニッケイ新聞 2008年3月14日付け
セルソ・ミング経済研究所は十二日、ブラジルが二〇〇八年さらに豊かな成長率を達成し、十五年前の経済倍増計画を実現したことを祝した。「この経済成長率は、鶏の羽ばたきではない。ブラジル経済が成長した証拠だ。しかし、調子付いてはいけない。まだエネルギー危機は解消されず、インフラは構造的に未完成であり、いつ経済成長率が停止するか分からないのが実情だ」と警告した。米経済不況は新しい経済サイクルを要求し、ブラジルは試される。
IBGE発表には、三つの特徴がある。一はクレジットの二八・八%増と所得向上三・六%増、雇用拡大三・〇%増という消費が根底にあり、粉飾でないこと。消費が生産を上回り、輸入がそれを補ったことも忘れてはならない。
二は固定投資が、一三・四%も増えた。これは生産部門が、将来の消費力増強を視野に入れて生産効率の強化を図ったことを意味する。三は経済成長率五・四%が、二〇〇八年も調子を落とさず成長する可能性を見せたこと。
国際環境は、中期的にはリセッションの影響を受け未知数である。米不況のため輸出は痛手を受けるが、中国とアジアの努力で世界的恐慌は防げる見込みだ。
米不況がブラジルへ波及するころは、かなり緩和される見込みと見ている。
IBGE発表は、これからの長いマラソン・コースでブラジルがよいスタートを切ったことを物語る。よいスタートは、物事が有利に運ぶ。但し、新しいサイクルのスタートであり途中で息切れしないこと。サイクルの異なる多くのことが、これから始まる。
多くの専門家や企業家は、国際経済の質的変化を分かっていない。ドルと金利が、脱線し機能していないのだ。ブラジル経済はこれから、アジア・アフリカによる価格破壊と脱工業化で悩まされる。ブラジルが米国のように保護政策に走るか、独善的政治の中に逃げ込むかである。
これからブラジルは、国際的な過剰労働力の消化と消費力増大で波に乗れるかが課題になる。第一次産品や第二次産品の消費市場は、さらに拡大される。新しいサイクルとは、ブラジルの生産部門が全て頭の切り替えをすることを意味する。そのために構造改革とインフラ整備が急務である。それができないとブラジルは、国際競争から脱落する。