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テレビ会議で「南米の植林」報告=伯パと東京、大阪つなぐ=日系社会が取組む環境保護活動=当事者ら大いに語る=誇りうる規模、すでに実績

ニッケイ新聞 2008年3月14日付け

 東京、大阪とブラジル、パラグアイを衛星回線でつなぎ、「南米における日系社会が取り組む環境保護活動」をテーマに話し合う「第二回テレビ会議」が、十日午後九時(ブラジル時間)から行われた。日本経団連自然保護協議会と世界銀行情報センター(PIC東京)共催。植樹活動を進めている南米両国の日系団体の代表者がそれぞれの取り組みを報告、日本側の参加者と意見を交わした。
 世界銀行東京事務所が進行役をつとめ、大阪大学中之島センター、アスンシオン同銀行事務所、JICAサンパウロ支所間のやりとりを中継した。サンパウロに接続されたテレビには、遠い日本の会場の様子が鮮明に映し出され、音声も十分に聞こえた。
 パラグアイからは、日本経団連自然保護基金の援助をうけて〇六年から森作りを続けているイグアスー日本人会の公文義雄会長が報告。「交流の森」「鶴寿の森」「こどもの森」など、十の森がこれまでに作られたと説明した。
 移住地の紹介VTRを流し、日本人移住者の農業貢献を強調。「開拓は環境保護と相反する」などと述べたうえで、「大豆の収穫を終える秋から冬にかけてが植樹シーズン。これから本格化します」と話した。日系ジャーナルの高倉ミチオ編集長が同国の農業事業や植樹活動について補足し、同移住地在住の渡辺忠オイスカ理事が日本側関係者の南米訪問を要望した。
 続いてJICAサンパウロ支所からの中継で、ブラジル・ニッポン移住者協会の小山昭朗代表と、NGO団体オイスカ・ブラジル総局の高木ラウル会長がブラジル内の植樹活動を報告。とくに、全伯五百ほどある日系団体に呼びかけて実施する「21世紀の森作り」キャンペーンや、両団体が共催でサンパウロ市チエテ川沿いのエコロジコ公園内の一角、約百ヘクタールに十万本の自然木を植樹する「日伯友情の森」プロジェクトについて話した。
 小山代表は移民百周年の記念事業として、両プロジェクトで今後十五万本が全伯に植樹される、と計画を明らかにした。「日系団体がブラジルで行う植樹では過去最大です」と自負。またブラジル国内で、植樹や環境に対する意識が以前よりも高まっていると説明した。
 質疑応答で、東京会場に出席した三原朝彦衆議院議員と山際大志郎同議員が感想。山際議員はバイオエタノール燃料問題に触れたうえで、「継続は力なり。環境保全と経済発展、エネルギー確保をうまく両立させ、他地域のモデルになってほしい」と激励した。
 世界銀行は、世界各地の事務所間(JICA事務所含む)をテレビ会議で繋ぐことができる。昨年八月には第一回テレビ会議として、東京事務所とカンボジアを結び、同国で活動するNGO団体と交流した。
 大阪会場、東京会場には経団連や大手企業の関係者など約五十人が参加した。会議は一時間ほどだった。