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労働手帳をカード化=便利で不便になる=実施後の諸問題検討中=犯罪の防止につながるか

ニッケイ新聞 2008年3月18日付け

 労働省は十六日、メーデーに七十六年間使用した現行の労働手帳をマグネット・カードに代替する計画であることを明らかにした。現在発行されている二千九百万冊の労働手帳を毎年、六百万冊づつ段階的に交換し、先ずサンパウロ州など六州から始める。目的は、労組が労働者の実態を常時把握するためらしい。計画は考案中で、実施によって起きる問題を検討中。希望者は二つ以上のカードを申請でき、不都合なことが記録されたカードは門外不出にできるようだ。
 カードは、便利で不便なもの。一度起きた行き違いは消えないので、刺青獄門帳のような効果がある。マグネットには、何が記録されているか本人に分からない。雇用者側が目を光らせるのは、労裁への告訴暦や正当理由つき解雇だ。
 現在の労働手帳は、不便であった。定年になり年金を申請するとき勤務年数を計算するので最初に発給された手帳を提出する。多くの人は紛失し、持っていないという不都合が生じている。そのため空期間を証明する書類を集めるのは、非常に煩雑である。
 三十五年前に勤務した会社は、殆どが閉業し、影も形もない場合が多い。労働省にデータがあっても、コネでもない限り調べてくれない。カードはそんな問題を解消し、便利ではある。便利には、落とし穴がある。またカード制への変換は、時代の要求でもある。
 労働者個人のデータが集約されているので、失業保険など恩典の支払は容易になる。言葉が不自由なためもらい損ねた年金なども、容易に判明する。政府は昨年、百二十四億九千万レアルの失業保険を払った。今年は百五十億レアルの支払予測だ。殆どは失業期間中、未登録で働き二重給料を受け取っている。
 カードは、無犯罪証明の代用にもなる。社会保障院は、手続きが簡略化される。しかし、紙からカードになるのは多くのロジスチックが絡み、関係業者の利害は複雑らしい。企業の人事課は当分、紙とカードの二重作業になる。
 どうせカードへ切り替えるなら、北欧で行っている従来の労働手帳に保健プランや社会保障システム、選挙民登録、FGTS(勤務年限退職基金)なども加え千枚通しにすべきという。そうすれば年金詐欺も防げ、労働者の権利も一目瞭然という声がある。

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