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交通渋滞のマイナス効果=大サンパウロ市圏の損失は年R$41億=時間、燃料、環境汚染など

ニッケイ新聞 2008年3月18日付け

 十三日午後七時に二二一キロを記録したサンパウロ市の交通渋滞は雨のせいでもあったが、車の増加や建築ブームによる大型集合住宅増加などによって生じる交通渋滞により、サンパウロ州だけで少なくとも年間四一億レアルの損失が出ているという。
 十五日付けエスタード紙が報じたもので、労働者の通勤時間の三〇%は渋滞、またはそれを避けるための回り道などで費やされる。もちろんこの数字は住んでいる場所によっても変わるが、州交通局の担当者は、バスや地下鉄などの公共手段を利用すれば少なくとも二五%の時間を節約できるという。通勤で損失する時間と燃料費の分だけで三七億レアルが節約でき、その他、渋滞で増える二酸化炭素ガスの排出が削減できれば一億一一〇〇万レアル、事故が削減できればさらに三億一一〇〇万レアルが節約できるはずだという。
 州政府は、時間の損失を減らすため、二〇一〇年までに一六三億レアルを投入し、ルス駅とクンビカ空港をつなぐ高速列車と、コンゴーニャス空港から地下鉄までの連結手段の設置を予定。長期的には、サンパウロ市とカンピーナス市のヴィラコッポス空港をつなぐ高速列車も設置される。
 一方、サンパウロ市だけを見ると、この数年で交通量は三倍に増えており、時間と燃料費だけで一日一一〇〇万レアルに上る損失を埋めるのは容易ではない。
 現実に、十六日付けフォーリャ紙には、大型集合住宅の住民が、車に乗り込み、コンドミニオの門を出るまでに一五分とか、会社や自宅付近で数キロを走るのに数十分といった例が挙げられ、渋滞は自宅や職場の前までどころか、駐車場の中まで続いているという。ちなみに、サンパウロ市内では五〇〇台以上の駐車場のある集合住宅建築は、一九八九~二〇〇二年が年間六件であったのに対し、二〇〇三年以降は年間一七件に増加。また、大型スーパーなど、二〇〇台以上の駐車場のある商業施設も急速に増えている。二月だけで一日平均一〇三一台の車が増え、市内全域で六〇〇万台以上の車。日常走行車両だけでも四五〇万台という。
 このため、サンパウロ市では十三日に、主要道路に直接出入りすることになる駐車場を持つスーパーの進出制限や路上の駐車時間や場所の制限、トラック乗り入れ区域の制限、重量税や罰金を払っていない車の撤去ほか、公共交通網の拡張と流れの確保、車両の通行量による信号切り替えの時間の調整などを盛り込んだ渋滞改善案を提示。監視システムの構築により、空いている道路に車を誘導したり、レッカー車や交通整理のための要員を増強することなども含まれている。事故削減のための交通教育実施のほか、一部地域では流れの改善のために、ロンバーダも撤去する予定ともいう。
 車の販売が増えたことや建築ブームなどは経済発展と喜ぶべきなのだろうが、大きな目で見た行政指導、環境整備の必要も高まっている。