ニッケイ新聞 2008年3月18日付け
政治家と性の問題は、難問中の難問で真に難しい。ロ―マの皇帝は実母と関係し話題になったし、中国はかなり鷹揚で3000人の美女を擁し「酒池肉林」を満喫したと諸々の書物は伝える。我が日本にも江戸幕府の十一代将軍・徳川家斉は、側室40人、子は55人を数えるほどの好き者だったが、幕臣らは、将軍家のお子さまのご結婚に頭を悩ませたらしい▼近いところでは、総理大臣の宇野宗佑氏が、愛人問題を暴露され短命内閣に終わったけれども、あれはお手当てが少なかったからの噂が巷に溢れたものである。戦後ではワンマン宰相の吉田茂氏が有名だし、あの田中角栄首相も。戦前だと佐郷屋留雄に東京駅で狙撃された浜口雄幸首相は愛妾を連れ立っての旅行だったそうだが、あまり厳しい非難らしきものはなかったそうだ▼まあ―。角栄さんは痛烈に叩かれはしたが、昭和の2ケタまでは日本の庶民も大目に見るのが「決まり」であり、こんなことで大騒ぎする愚?は避けた。と、こんな与太話を記しているのも、NY州のスピッツア―知事が、22歳の歌手デュブレ―さんを買春したの報道があり辞任したからである。若き歌手は「とっても複雑な気持ち」と語ったそうだが、クリントン元大統領もそうだし、アメリカはこうした秘め事には宇宙が爆発するほどにうるさい▼しかも、スピッツ知事は、元検事で売春取締りに辣腕を振るい、保険や証券会社の不正を暴き大人気を博した。そのご本人が、一回の買春に4400ドルを払い、これまでに8万ドル以上をつぎ込んでいるそうだから、州民にお詫びし引責辞任も致方あるまい。 (遯)