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米金融危機=ブラジル上陸に備え警戒警報=恐慌の声も一部に=外資の退去に備え空洞塞ぎ=EUがFRBの能力を批判

ニッケイ新聞 2008年3月19日付け

 マンテガ財務相は十七日、米金融危機が日に日に拡大していると述べたことを十八日付けエ紙が報じた。一部では、二九年の恐慌級と見る筋もあるようだ。「まだブラジルに上陸の気配はないが、外資の一斉退去もあり得る。そのとき資本市場の空洞を、いかに穴埋めするか。ブラジルは米不況の直撃を受けていないが、為替対策法に次ぐ第二弾、第三弾が次々発令される」と警告した。業界は、米ベアースタンス銀行破綻の影響に固唾を飲んでいる。
 財務相は敵機の来襲に備えて注意を注ぎ物事の動きを観察し、当局の対策に対応するよう喚起した。「米国は政策金利を引き下げたのに、ブラジルが基本金利を引き上げる理由はない。しかし、消費とローンの過熱を押えるため、情勢に逆らって金利を引き上げる可能性を示唆した。
 ルーラ大統領の過熱消費とインフレの再来警告、中央銀行の基本金利引き上げ示唆に対して財務相は、コメントを避けた。財務相は米不況に対し悲観的な見方をしている。「ブラジルはポルト・セグーロ(安泰な港)に停泊している。しかし、何かが起これば、波及は免れない。だがブラジルは、最低限に留められると見ている」という。
 ベアースタンス銀行株は昨年五月、百五十六ドルで取引された。それが十七日、JPモルガンによって僅かの二ドルで引き取られた。金融部門で働く者は、一流銀行といえども一日か二日の間に、ホコリになる現実を見せられた。
 FRB(連邦準備制度理事会)は、薬を投与するのに処方箋など見ない。一かばちかの劇薬投与である。まだ息がある病人には、罪なことだ。FRBは、伝染病を食い止めることしか考えていない。これが、当局のすることかと金融関係者は肝に銘じた。
 金融市場は、一つの軸を中心に機能している。ブラジルの金融市場は、田舎教会のようなものでしかない。EU金融委員長のバローゾ氏は、FRBが米金融市場の安定度を知っていたはずだと非難した。不動産ローン株購入を奨励したのは、前理事長である。FRBとは、一体何のための機関なのか。