ニッケイ新聞 2008年3月19日付け
十七日未明、サンパウロ州サントス市のマクドナルドが四人組の強盗に襲われ、四三人が人質にとられるという事件が発生したと、十八日付け伯字紙が報道した。
事件発生は、一時前。先に到着し、テーブルに座って食べていた三人は、それらしいそぶりは何も見せていなかったが、閉店間際に別の一人が近づいてきて一緒になったと思ったら、強盗だと名乗り、警備員を制した。三八口径の銃二丁を使って客を制す一方、レジに向かった犯人らは、売上金約二二〇〇レアルを奪おうとしたが、その際、「金を渡さなければ殺すぞ」と脅したという。
「あっと言う間の出来事だった」と店員らが言うほど素早い行動。しかし、犯人らが売上金を要求し、人質の指輪や時計などを奪っている隙に、従業員の一人が機転を利かして警察に通報したため、一五分と経たないうちに、店は約四〇人の警官隊に取り囲まれた。
犯人らは、四三人の人質を台所と地階、ならびに二階部分に拘束したが、客や従業員らはしゃがんだ姿勢をとらされていたという。二時半ごろ、心臓梗塞を起した主任とダウン症の従業員の女性二人が開放されたが、犯人らは、その他の人質の開放と投降の条件として、身の安全と報道陣の招集を要求。三時半過ぎに報道陣も揃った所で、一人ずつ投降した。
人質となった客の一人は、父親の通夜で集まったいとこや姪、息子同伴で、埋葬前にと夜食をとりに来た所で巻き込まれた。
犯人の一人は、バウルの刑務所からの脱走者だというが、金を出させるために脅した以外は、トイレにも行かせたり、食べ物を与えたりと、全般に人質を丁重に扱った様子。ただし、店の主任の一人が銃の台尻で殴られ、ケガをしたと一紙が報じた。
海岸を目の前にする店では、十七日午前から通常通り営業したものの、報道陣の取材は拒否。マクドナルドの広報担当者からは、強盗事件の終焉と共に「人質となっていた方々には、誠心誠意対応する」旨を伝える文書のみが公表された。