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殿下の文協訪問なし!?=関係者の落胆の声も=在聖領事館「要請ない」

ニッケイ新聞 2008年3月19日付け

 皇太子殿下の文協ご訪問の予定なし――!? いよいよ三カ月後に迫ったブラジル日本移民百周年式祭典。皇室からは皇太子殿下のご来伯が予定されているが、〃全伯四百日系団体の代表〃を標榜するブラジル日本文化福祉協会(上原幸啓会長)へのご訪問予定は、ほぼないと見られており、関係者らを落胆させている。在サンパウロ総領事館の丸橋次郎首席領事は、「訪問予定地や日程などは決定されていない」と前置きしながら、「今のところ(文協からの)要請はない。行っておられない場所が優先されるのではないか」とコメントしている。
 「本当に来られないのですかね…。淋しい限り。残念です」と文協の創立会員で評議員の原沢和夫氏(83)は声を落とす。
 「皇室の方が毎回、文協に立寄られるたびに文協は、大歓迎してお迎えした」とかつての熱気を振り返る。
 一九五八年、文協ビルの定礎式に出席された三笠宮殿下に始まり、七八年に現天皇皇后両陛下が出席されたブラジル日本移民史料館の落成式など、文協は常に記念事業を念入りに準備してきている。
 〇五年に創立五十周年を控えた文協の会議や、昨年の評議員会では、百年の皇室ご来伯を見越し、原沢氏は、「皇太子殿下ご来伯記念講堂の改修事業を」と声を大にしてきたが、執行部の反応はなく、現在でも改修工事の目処は立っていない。
 「(本番まで)九十日ほどですよね。もう無理でしょうね」とため息をついた。
 九七年にご来伯された天皇皇后両陛下の「ご歓迎委員会」の委員長だった山内淳元文協会長は、「両陛下に見て頂けるよう史料館の九階部分を増築した」と話す。
 周年行事や皇室ご来伯を機に資金集めをし、施設改善をしてきた文協の歴史にも触れながら、「皇太子殿下は八二年に文協に来られているから、何か特別なものがなければ無理ではないか」。
 丸橋首席領事は、「常識的に考えて、イビラプエラ公園の開拓先没者慰霊碑の参拝と百周年式祭典への出席は問題ないのでは」と話しながら、「各地方からの要請もある。今まで行かれていないところが優先順位として選定される可能性が高いのではないか」と述べるに留まった。
 上原幸啓文協会長は、「現在文協内で考えて、話し合っています。今はまだ言えませんが、近いうちに発表する予定です」と口早に話し、総領事館とも調整する考えを示している。