ニッケイ新聞 2008年3月20日付け
十九日エスタード紙によると、児童、青年に対する暴行や虐待通報用の一〇〇番電話の利用はこの二年で倍増し、昨年は二万四九三一件、うち未青年への暴行が六七%、児童趣味14%という。一日あたりでは約七〇件。全国で、多くの児童、青年が泣いている。
十七日にゴイアス州ゴイアニア市で保護された十二歳の少女Lもその一例で、十八、十九と連日伯字紙が報じているが、加害者の弁護士が「今回報道された内容が真実ならば、擁護することは困難」と言うほど、衝撃的な出来事であった。
市でも高級地区のアパートで保護されたLは、猿ぐつわをかまされ、手足とも鎖で洗濯場の窓格子に。しかも、足は地面に着くか着かぬかであったという。
長期の虐待により、手足の爪ははがれ、歯も折れ、舌も傷だらけ。手をドアにはさみ、足の指は金槌でたたき、さらに頭を壁に打ち付ける。ペンチで舌を締め上げて傷を負わせたほか、舌や手の爪の下や臀部にやけどの痕。こぶしでみぞおちを殴られたこともあり、食事を与えられない日もあったという。しかも、傷跡は生傷と治ったものとが混じり、虐待が繰り返し行われてきたことを物語る。
加害者として逮捕されたのは、会社経営者の妻シウヴィアと、子守りの女性の二人で、シウヴィアは子守りがやったと言い、子守りは「解雇されたくなくて命令に従った」と。逮捕時に夫は不在だったが、同居していて何も知らなかったはずはないと、夫と学生である二人の息子にも嫌疑がかかっている。
嫌疑を免れたのは六歳の息子だけだが、少女Lがこの家にきたのは、少なくとも二年前。昨年からは学校にも通えず、電話をかけることも許されなかった。
生母は、六〇キロ離れたピーリス・ド・リオ市在住で、娘が学校に行けることを願って養女に出し、少女も「テレビや自転車も買ってあげる」などの約束を信じ、幸せになれることを望んでやって来たという。
六年前にも、三カ月間五歳児を虐待したとして訴えられたことがあったというシウヴィアだが、Lの事件の報道後、二十歳の女性からも、十四歳の時にシウヴィアから暴行を受けたと警察に届けが出された。
少女Lが誰と暮らすことになるかは、今のところ未定だが、十九日のエスタード紙には、学校の前で少女たちに声をかけ、暴行を繰り返していたリオ市の男性逮捕の記事も掲載された。