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米危機は98年の30倍=米金融パニックを解剖する

ニッケイ新聞 2008年3月20日付け

 ルーラ大統領は十八日、「一九九八年マレーシアを襲った金融危機は、ブラジルをも道連れにするところであった。今回の米金融危機は、その三十倍に匹敵する。米国の債務額は一兆ドルに達するといわれるが、今回のブラジルは財政堅固なため、安泰である」と自画自賛した。
 これを「運」という者がいる。運は怠け者には開かれない。国運は、政治と勇気、約束厳守によると述べた。今は手品によらず、努力で経済政策を採ることを習得した。しかし、ブラジルは幸運の星を抱き、至福の時だと大統領はいう。
 米金融危機を観察すると次のようだ。FRB(連邦準備制度理事会)は十八日、政策金利を〇・七五%下げ年利二・二五%にした。酸素注入のバルブを、さらに広げたのだ。これは同時にインフレも招き、火遊びをしていることをFRBは承知済み。インフレ率を差し引いた実質金利は、マイナス金利になる。
 ドル通貨の暴落を食い止めるのが、マイナス金利の目的とFRBはいう。米国で過去十二カ月のインフレは一月時点、四・三%。目標の三・二%を上回った。これは米国債を持つ投資家が、マイナス金利ばかりでなく通貨の下落にも配慮しろということ。
 一般投資家にとって国債は、国家と運命を共にする心の拠り所である。儲かっても儲からなくても、米国がある限り丸損はないと思っている。FRBの使命は、インフレと失業対策だ。だがブラジルが心配するのは、米国のインフレと失業ではなく不況。
 今のところ危機は、資本市場だけだ。FRBは、銀行網の存続を守ることに必死である。ベアースタンズ銀行をJPモルガンに捧げたことが、一般投資家には分からない。理由は一つ、契約の履行。ベアースタンズ銀行に僅か二日間で百七十億ドルの取り付けが起き、同行は破綻した。
 JPモルガンに拾われたので、ベアースタンズの債務は救われる。同行に誰も手を差し伸べず野垂れ死にするなら、銀行全体がドミノ現象を起こす。健全な金融システムがないと、通貨政策も存在しない。最悪事態は収拾したものの、ドルの下落はまだ続く。

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