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日本移民の農業貢献を顕彰=幕張の国際食品飲料展で=ブラジル有機食品に注目集まる=養鶏業界の本も出版記念会

ニッケイ新聞 2008年3月20日付け

 【東京支社長=藤崎康夫】三月十一日から十四日まで千葉・幕張メッセで開催されたアジア最大級の第三十三回国際食品・飲料展(Foodex Japan 2008)で、ブラジル政府機関アペックス・ブラジル(ブラジル輸出・投資振興庁)は日本移民と日系人の貢献を顕彰する展示会を行い、同時に、ブラジル鶏肉生産者輸出業者組合(Abef)も百周年を記念して『ブラジルの輸出用養鶏業界における日系人の存在(1908―2008)』(日ポ両語)の出版記念会を行った。ブラジルから最大規模の出展となった今回、百周年を記念した日本移民顕彰展示も注目を浴びた。
 海外出店ゾーンの一角に設けられた展示会は「ブラジルと日本―未来の百年=ブラジル農産業における日本人移民の功績」と題され、ブラジルからの企業が商品展示を行ったパビリオンの隣の百平米を使って行われた。五台の液晶モニターと三台のタッチパネルで、日本移民史料館やエスタード紙が所蔵する日本移民の写真と共に、彼らがブラジルに持ち込んだ協同組合制度、新作物、新しい食習慣などが展示された。
 書籍は、世界最大の鶏肉輸出国としてのブラジルが、日本への主要供給国としての地位を築くまでの軌跡や、ブラジル養鶏界の発展における日系人の貢献がつづられている。同輸出業者組合によれば、日本はブラジルから通常の鶏肉の九割、加工済み鶏肉の五割を輸入している。
 企業展示パビリオンには、例年の二倍となる五百平米が確保され、サンパウロ州、ミナス州、南大河州、アマゾナス州、パラー州、リオ州などからの二十五社のブラジル企業が、蜂蜜、プロポリス、グアラナ、コーヒー、鶏肉、醤油、アサイ、有機食品などの展示を行った。
 特に注目を集めていたのは高品質のブラジル・ワイン。近年、日本ではワインとシャンパンの需要が伸びており、ミオロ・ワイン・グループが、日本市場に適する高価値の特別商品を出品していた。すでに同グループは、二十カ国に輸出しており、新たな日本市場への進出を目指している。
 日本メーカーと技術提携を結び、独自の天然醸造法を開発している「サクラしょう油」も注目された。日本を代表する伝統調味料「しょう油」の海外製品という難しさもある一方で、「魅力に満ちた商品」との来場者の声も聞かれた。
 すでにしょう油やパスタ、グアラナ飲料などをアジアに輸出している貿易商社トドテンボ商事は、ゴイアバーダ、アサイのシャーベット、チーズ、パルミットなどブラジル特産品を同店に出品。薬草、珍しい果物のジュース、有機食品などが入場者の注目を集めていた。
 また、ブラジルの輸出関連のシンポジュームも開催され、熱心にその話を聞く人々の姿があった。
 レビスタ・ファトール紙十五日付けによれば、出展コーヒー関連企業全体では、この四日間で総額百万ドルの商談をまとめた。今後十二カ月間でさらに二百万ドル分の商談が進むと予想している。九千杯の試飲を提供するなど高い注目を浴びた。日本はブラジルにとって四位のコーヒー豆購入国であり、年平均二百万袋を輸入している。加えて挽いた豆四百トン、インスタントコーヒーも三百五十トンをブラジルは日本に輸出している。
 InvestNews十二日付けによれば、ブラジル輸出・投資振興庁のロジェリオ・ベリニ局長は、日本で認められることはアジア地域全体での評価を得ることと同意であり、「いったん日本人がブラジル商品を受け入れたとなれば、残りの世界どこにいっても品質は保証されたも同然」と出展の意義をのべた。