ニッケイ新聞 2008年3月21日付け
全国的にデング熱患者が減る中で、依然として患者数が増え続けるリオ市。その実態は〝流行〟そのものであると二十日付け伯字紙が報道した。
リオ市西部のアルベルト・シュヴァイツァー病院によると、一月のデング熱患者の診察は六六人で入院は一〇人だったが、二月は診察一九二人で入院四二人、三月に至っては、十八日までだけで診察六二一人で入院一二二人。一月と比べ、一〇倍の伸びになる。
リオ市全体の患者数は、一月から今月十九日までの間に二万一五〇二人(フォーリャ紙)で、十九日現在の死者は二九人。州では三万二六一五人(エスタード紙)で、死者四七人。死者の半数が子供だというが、リオ市の今年に入ってからの一〇万人当りの患者発生数は三四六人。フォーリャ紙によると、登録された患者一人に付き、潜在患者が一〇人いるという専門家もおり、完全に流行状態といえる。
特に懸念されているのは、市の東部で、一〇万人当り六九六八・九人。市内二七地区で一〇万人当り三〇〇人を超える患者が登録されている。
では、全国では四〇%の患者減少を見ている時にリオ市ではなぜ増加しているのだろうか。この問いに対し、保健相は、リオ市の保健行政のせいだとし、医師や看護婦も揃った家族健康計画(PSF)スタッフによる訪問指導や、予防処置、早期の対応が十分でないことがリオ市でのデング熱流行を許したという。
リオ市のPSFのスタッフは、人口比でみると、八・一〇%、衛生部門の職員も一四・四%しかいない。これに対し、昨年のデング熱患者は二八一三人だったが、今年は四八人に納まっている南マット・グロッソ州カンポ・グランデ市では衛生部門の働きは市民の九三・三%、PSFでも二五・二三%をカバーしているという。また、感染の起きる危険度の高い地域でありながら、二〇〇二年来流行が起きていないミナス州ベロ・オリゾンテ市ではPSFのスタッフが市民のほぼ七〇%をカバー。
リオ市長は、スタッフや職員の不足ではなく、ヴィールスの型の問題で、感染力が強く、患者が死に至る可能性の高い二、三型のヴィールスが流行の原因だというが、予防は医療の基本。小さなことをきっちりと行うことが、今後の行方を決める。黄熱病とデング熱の媒介役の蚊は、一方に感染すると他方には感染しないという研究もあり、デング熱と黄熱病との両方に対し、溜まり水の撲滅などの対策が必要だ。