ニッケイ新聞 2008年3月21日付け
アマゾン川上流ソリモンエス流域のタバチンガにある先住民保護財団(Funai)は十九日、ブラジルとペルー、ボリビア国境地帯で先住民の間にコカインが浸透し、社会問題になっていると警告した。
同地域生息の先住民は、五万四千人。種族は多種にわたり、別々の共同体を構成している。先住民の若者は、コカインの運搬に就労し常飲もする。その消費量が最近、急増した。タバチンガの市街地に当るウマリアスでは、若者の二〇%が中毒症状を呈している。
ブラジルで消費される麻薬は全て隣国で栽培され、流通経路はソリモンエス川を水路で入ってくる。名目だけは森林管理局が麻薬の輸送も管轄であるが、とても管理も監督も手が回らない自由航行である。
空軍はヘリで近辺を巡回し、栽培地やコカイン精製所の場所も知っている。しかし、従来のような拘束や抜根では効果がない。コカイン運搬に代わる仕事を与えることだ。そこまで踏み込んだ対策は、ブラジルの官庁ではなかった。