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最先端工業に税制恩典を=ITは時代の要求=世界不況と税収減でも決行=木を見て森を見ない財務省

ニッケイ新聞 2008年3月25日付け

 ミゲル・ジョルジェ産業開発相は二十三日、世界的不況がブラジルに波及するとも、四月予定の税制恩典を含むITなど産業奨励策は決行の意向と二十四日付けエスタード紙が報じた。「財務省と産業開発銀行(BNDES)は減税や免税に難色を示しているが、一月と二月に税収が記録更新したことで国税庁は特例を考え出すべきだ。国内経済での比重が小さくても、その発展は時代の要求であり政府の期待だから強化するべきである」と述べた。
 国際経済の影響を受けて国内経済が冷え込めば、予想を上回る減収となり免税の可能性は小さい。産業開発相は、こんなチッポケな考え方を一蹴した。
 国際経済が及ぼす影響は軽微で、税収の回復は早いという。一月は小切手税(CPMF)を失ったにも関わらず税収二〇%増は、まだ産業が好調である証拠だと同相は見ている。
 同相は、ストーリーが同じでも配役が変われば舞台も変わるという。だから減税か免税を特殊分野へ与えよと圧力をかけた。国税庁が自ら困難を創りだし、政策を困難にしているのだと同相は冷笑した。
 これまで視野になかったが政府が期待するのは、半導体の生産である。ブラジルが最先端分野に挑戦するため、免税や負担金を免除してでも育てるべきこと。数々の未踏分野が産業界にあり、その免税は税収に影響しないという。
 他にブラジルが挑戦すべきは、IT技術の輸出だ。現在はインドが三百億ドルを輸出し、世界のトップを切っている。ブラジルは名実ともインドのレベルにあるが、IT輸出の実績は八億ドルに過ぎない。
 インドは国策でIT産業を奨励し、連邦税や州税、市税を免税とし、社会保障院負担金はブラジルの三分の一。ブラジルの労働法が現実に間に合わないならば、別の人材起用方式を可能にするべきである。
 IT部門の人事では、根本的に社会保障院の負担金制度を見直す必要がある。政府は一分野だけに新たな労働法を適用できないため妙案を机の引出しに突っ込み、国際競争からの脱落を余儀なくしている。
 半導体の場合は、対応がのろいため二百億ドルを儲け損ねた。半導体のような例は、他にも薬品や電子など日進月歩の世界に多数ある。政府の対応が遅れたため、二〇〇八年の花形産業は企業誘致にも二の足を踏んでいる。