ニッケイ新聞 2008年3月28日付け
先日、文協シネマの特別上映会があった。監督や関係者のあいさつもあり、入りは上々だったのだが、映画の最後部分の音声が止まってしまい、尻切れトンボで終わってしまった。
上映後、固い椅子が傾いでいることを漏らす来場者の声を緞帳にある「南米銀行」の文字を見ながら聞き、なんともやるせない気分になった。
文協大講堂は、六七年の皇太子ご夫妻(現天皇皇后両陛下)のご来伯を記念し、七〇年に完成。資金は日本政府からの補助金によるものだった。 改修構想は、〇五年の文協創立五十周年を機に盛り上がったが、資金を集めきれず、現在に到っている。
求心力のなさが指摘される文協が独自の百周年事業として存在感を示し、日本、皇室とコロニアの繋がりを再認識する絶好の機会を逃したのは、惜しいとしか言いようがない。 (剛)