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コラム 樹海

ニッケイ新聞 2008年3月28日付け

 日本企業の駐在員としてブラジルで仕事をし、会社を退職してから、帰国せずに住みつく人は少なくない。現在、イビウナの住人、中村勉さんもその一人である▼二十年ほど前、官主導で企業が立ち上げたシルバーコロンビア計画は、主として通貨価値の変動により潰えたが、中村さん自身は「自分の勘定とリスクで、自分の人生を生きる」を貫いている。つまり個人版の計画推進である▼住みつく所が、なぜシルバーコロンビアが推奨したスペインや豪州でなかったのか。こう問うのは愚かだ。最も判り易くいえば「好きだから」だ▼中村さんは、毎週、随想風に独自の視点でみた〃世間評〃を書いて、友人、知人への通信としている。去る二月末には「日本で使い道のないマネーも、当国のような成長盛りの国では歓迎されるはずだ」と投資をすすめた。ただ「十分に勉強して来なさい」とクギを刺した。勉強をろくにしないで、付和雷同し、集中豪雨のように出入りしないほうがいい、といっている▼〇六年と〇七年の比較において、Bovespaは四三・七%値上がり、DowJonesと比べると、値上がり幅は八倍、と数字を示し、分散投資をするにはいいんじゃないか、とすすめたのだ▼今年初めの日経新聞に日本で使い道のないおカネは難民マネーだとでていたそうだ。中村さんはそのように蔑視されているのを憂えた。自分の人生は自分のもの、と考え、ブラジル主体生活を始めた中村さんだが、日本のことはまだまだ気になるようである。(神)