ニッケイ新聞 2008年3月29日付け
ルーラ大統領の機密費解明を打診する一方で、官房長官の右腕エレニッセ・A・ゲーラ氏が、専門家に命じてカルドーゾ前大統領の同費開示を手配したことが判明と二十八日フォーリャ紙が報じた。政府は同件に関する前大統領の機密記録の存在を否定したが、ルツ夫人の化粧品、私生活に至るまで詳細に記録した十三ページからなる文書が公開された。大統領府は、ロウセフ官房長官の政治的立場が悪化したことで釈明するよう求めた。
聖域とされた大統領の私生活における経費を洗い出すため、一九九八年に遡ってデータ・バンクの政府機密費に関する平行システムを、ゲーラ氏の指令で開示した。政府は文書のもみ消しを図ったが、同氏は官房長官をかばって全ての責任を取る覚悟のようだ。
同氏は、官房長官の快刀だ。官房長官が二〇一〇年、大統領選に立候補するなら半身となる影の立役者である。ルーラ大統領のコーポレート・カードが議題になったとき、いち早く防御の切り札を用意しにかかったらしい。
プラナウト宮の別棟地下倉庫に眠る廃棄ファイルを、同氏が開かせた。同データは、Suprim(大統領特別費の補足的管理)という項目で保管されていた。大統領夫人のプライベート経費や側近、閣僚、知人の接待費が記録され、大統領の私生活をかいま見ることができる。
ゲーラ氏はスタッフを編成し、データ内容を合法と非合法、経費として認められるもの、認められないタイプBなど用途と目的に従って類別整理させた。カードCPI(議会調査委員会)を有利に運ぶための材料集めだ。同氏は独断指揮を主張し、他への責任波及を阻止した。
同氏は、文書のマスコミ漏洩告発を否定した。週刊誌の記事は、Suprim入力時点でマスコミがデータを一部コピーしたと見ている。主家のためとはいえ結果が悪ければ、官房長官は泣いてバショクの首を切ることになりそうだ。
官房長官は急遽、事態を収拾しないと大統領候補はもちろん、官房長官の地位さえ危ういと大統領府はいう。ルーラ第二次政権が、初めて出会う試練だ。官房長官は文書発覚の報に「コーポレート・カード論争を滑稽化する試みであって、スキャンダルではない」と弁明した。