ニッケイ新聞 2008年4月2日付け
ジェツリオ・ヴァルガス財団(FGV)二次産品部は三十一日、三月も産業界が音をたてて稼動し、昨年下半期の好調経済を増幅と発表したことを一日付けエスタード紙が報じた。国内消費の伸びが原動力となって背伸びをしている工業生産は近月、インフレの可能性を孕みつつある。工業設備の稼働率は、八五・二%で昨年比二・一%増。設備の稼動力は限度を越え、黄信号を灯しつつあるという。
ブラジルで現在、起きている過熱経済についてFGVは次のように見ている。経済学者には保守派と革新派の二つの見方があるが、現状はブラジルの経済能力に相応しくない異常なものとする判断で一致している。放置すると、後遺症を残す危険な現象であるから対策を要するという。
保守的見方によれば、インフレに火が点くと経済の基本条件を損なう。革新的見方では、既に兆候があるように対外収支が狂う。外貨準備高が二千億ドルはあるものの、輸入の激増で貿易収支がいつでも赤字になり、ドル通貨が二レアル以上へ引き戻される。そうすると輸入品が値上がりするので、すぐにインフレが頭を持ち上げる。
マンテガ財務相がローンの引き締めを検討しているとき、大統領は、インフレは二の次にして、新車が売れて消費者の台所はご馳走で満たされるよう注文した。革新派は、大統領の注文に不満であった。
中央銀行を見れば分かるが、初めは保守派が優勢であった。消費とインフレが昂進すれば基本金利を引き上げて歯止めをかける。ローンの金利を引き上げ、期間を縮小する。みんなが嫌がる金利の引き上げまでは革新派と同じだが、経常収支の黒字と公共経費の削減を優先する。
よく観察すると消費の過熱は、政府経費に連動している。政府が大判振る舞いをすると、国民も財布の紐が緩んで浪費する。政府経費のカットは、保守派の金科玉条だ。政府の財政政策が、経済の基本だという。過熱消費云々は、二次的なものとしている。
中銀は、政府経費の引き締めなくして節度ある消費もないと見ている。政府がいうことを聞かないなら、基本金利で手綱を締めるしかない。政府が高金利政策を避けるため、経費削減をするか。とどの詰まりは、政府経費に行き着く。