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SC州ジョインヴィーレ市=30家族の日本人会100周年記念行事=日伯歌のCD制作と歌舞団「荒馬座」公演=〃存在感〃を示す

ニッケイ新聞 2008年4月2日付け

 【ジョインヴィーレ】サンタカタリーナ州ジョインヴィーレ市でも、日本人会がささやかながら日本移民百周年記念行事をすすめている。すでに終えたのは、日本の歌とブラジルの歌五曲ずつ収録したCD「ルア イミグランテ」(Lua Imigrante)の制作および日本の民族歌舞団「荒馬座」公演だ。
 当市は、人口六十万人を数える都市だが、日系は推定百五十家族で、しかも二、三世の医師や弁護士など、それぞれ多忙な職業の人が多く、日本人会の会員は、ブラジル人を含めても三十家族、建造物の建設とか記念誌の刊行など、とても望めないこと。幹部は悩んだのであるが、結局、CDを制作、配布することと、日本から「荒馬座」を招聘することを記念行事とした。
 六十万人の中の三十家族は、余りにも数少なく、少し鄙(ひな)びた奥地へ行くと、日本人を見るのは初めて、と言う人もいるような信じられないような町。日本の芸能団の公演や、日本の歌のCD制作には、正直不安もあったが、会員は一致団結して協力態勢を敷いた。
 CDに収められた歌は、十一人の主婦で構成された、趣味のコーラスグループ「Coral Feliz」に歌ってもらうことにした。グループは、スミダ・タミさんが唯一の日系人で、ほかはドイツ、イタリア、スイスなどヨーロッパ系ブラジル人で、日本とブラジルの交流を深める意味から日本の歌五曲とブラジルの歌五曲が収録された。
 日本の歌は「ふるさと」「みかんの花咲く丘」「さくらさくら」「浜辺の歌」「あかとんぼ」、ブラジルの歌は「Luar do Sertao」「Chua Chua」「Lua Brancaなど」五曲。慣れない日本の歌は違和感があるかもしれないが、この町の日系人有志ができる唯一の日伯交流を兼ねた百周年を記念する仕事だ。
 「荒馬座」の公演は、佐藤宗一・裕子クリチーバ総領事夫妻、マルコ・テダウ市長、ダルシー・デ・マットス・サンタカタリーナ州議員の出席を得て、去る三月十七日、市内の市立劇場で開催した。三月九日がジョインヴィーレ市の入植百五十六周年にあたり、その記念と日本移民百周年記念を兼ねていた。日伯文化連盟主催、ジョインヴィーレ市とブラジル銀行後援だった。
 当日は、三千二百人の観衆が詰め掛け、日本の若くて元気な俳優たちの躍動美あふれる踊りや演技に感動し、酔いしれることができた。多くのブラジル人たちに日本の文化、芸能に触れてもらうことができ、また、地元のテレビや新聞でも大々的に報じられた。「ジョインヴィーレに日本人あり」と、その存在感を示すよい機会になり、成功のうちに幕を閉じた。
 来る六月十八日前後の土曜日に百周年記念晩餐会を予定している。(筒井惇さん通信)