ニッケイ新聞 2008年4月2日付け
【藤崎康夫=東京支社長】三月二十七日、東京・内幸町の外国人記者クラブ(フォーリン・プレス・センター)で、上智大学の堀坂浩太郎教授が「日本・ラテンアメリカ関係の現状と行方」について講演した。今年がブラジル日本移民百周年をきっかけにした「日本ブラジル交流年」であることの意義を、いろいろな面から説明した。
まず、日本の海外移住の歴史を概説。第二次大戦の敗戦で、台湾、朝鮮、中国、東南アジアなどから一挙に帰国した現状。そして海外に住む日本移民たちによって、戦後移住者の道が開かれたことなどを紹介した。
さらに「日系人」についての説明を行い、最大の日系コミュニティーが、ブラジルに出来ていること、そして今や、その中心が二世、三世に移り変わりつつあり、すでに六世も誕生している、などと語った。
また在日日系人とその家族によって、ブラジルをはじめラテンアメリカ人によるコミュニティーが出来ていることも語られた。
今回の百周年が、日本の海外移住、その子孫の大きな動きを総括するための重要なイベントであることを指摘し、日系人のデカセギ現象はグローバリゼーションの一つの反映でもある、と位置づけた。
百周年をキーワードとして、日本とラテンアメリカの関係を、この時点でまとめておく必要があることを強調。さらに日本とラテンアメリカの関係は、すべてが経済的関係により成り立っていること。移住も、イギリスの清教徒のアメリカ移住とは異にしていることを説明。そして現在の日本とラテンアメリカの経済関係について論じられた。
在日の外国マスコミに対する百周年の説明会に対し、参加した記者からは「有意義な解説だった」との感想も聞かれた。