ニッケイ新聞 2008年4月3日付け
サンジョアキン市内のレストランに場所を移した一行は、関係者と昼食交流会を行った。リンゴ農家と栽培の話題に話が弾み、歓談を楽しんでいた。
昼食会後、宮城県人会は最近ブラジル国内に根付いてきている七夕の飾りをサンジョアキン文化体育協会にプレゼント。清水信良会長は「記念になります」と嬉しそうな表情で話した。七夕の飾りは同レストランに飾られる予定。
空腹を満たした一行が向かったのは、サンジョ組合(佐藤ラウル会長)の工場。コチア産業組合崩壊後の九四年に有志が集まって建てられた。敷地はおよそ十八ヘクタールで、現在の組合員数は約七十五人。組合員の一人、清水会長が同工場内の施設説明をしてくれた。
収穫されたリンゴは、先ず約一~二℃に保たれた冷蔵庫に保存され、選果が行われる。選果後は、冷蔵庫に保存され、注文が入った時点で、箱に詰められて発送される。
同工場では、リンゴを選果する時に傷つけないように水に浮かべて行われ、全て機械で行われている。「選果の機械はフランス製だが、一番大事な部分は日本製」と冗談混じりに話していた。
組合員は、「リンゴ一キロでだいたい六十セントの売上げになる。約半分は組合運営のために使用する」と状況を説明。また「有志を募って建てられた工場だが、借金もなく運営されている」と胸を張って話した。
近年では、葡萄を栽培している組合員もいて、葡萄を中心に扱うサンビッチ組合ができている。
工場内を見学した後、近くにあるリンゴ販売所へと足を運んだ。そこでは、組合員の婦人部が生産されたリンゴを販売している。一行はお土産のために大量に買い込み、両手一杯のリンゴに大満足の様子。
その後、清水会長が運営している農園でリンゴ狩りを楽しんだ。「一人三個まで」と釘をさされていたために、一行は様々な木を見て周り、美味しそうなリンゴを手にとった。
リンゴ農園を見たくて同旅行に参加したという金子博次さん(70、埼玉)は「面識はないけれど、日本人が石ばかりのこの地を開拓したことを誇りに思っている」と感激した様子で話した。
一行はリンゴ園を楽しんだ後、フロリアノポリス市内にあるホテルへと向かい、疲れた体を癒した。(つづく、坂上貴信記者)
宮城県人会百周年記念旅行=SC州で日本人の軌跡を実感
《連載1》サンジョアキン=「リンゴの里」はいま=品種改良に力を注ぐ