ニッケイ新聞 2008年4月4日付け
リオのデング熱流行は怠慢とミスが招いたと小児科の感染症専門医が指摘する一方、全国で流行の危険のある市町村の半数は、何の対策もとられていないと保健省が発表した。
小児科医の指摘は二日にリオ市で開かれた専門家会議でなされたもので、三日のフォーリャ紙によれば、リオデジャネイロ連邦大学の医師らがもっと早い時期に適切な対策がとられてしかるべきで、現行対策による結果は急速には出てこないと発言したという。
医師らの指摘した七つのミスは、(一)デング撲滅デー的対策:予防接種のないデング熱には効果なし。(二)流行であることの認知の送れ:庶民はかくも多くの患者が発生しているという事実を知らされていなかった。(三)診断法:デング熱の症状が出ていなくてもデング熱の可能性を疑い点滴を始めるべき。(四)優先順位:熱のある患者よりも、腹痛を訴える患者を優先すべき。(五)処置:脱水症状があらわれたら非アスピリン系の解熱剤を投与する。デング熱と診断が下る前であっても、水分補給は不可欠。(六)具体的な情報不足:熱帯シマ蚊のぼうふら対策を指導してこなかった。(七)単発的活動:デング熱についての継続した情報提供がなされていなかった。この項目には、医師の誤診など、医師側の訓練、情報不足も含まれる。
この他、常に血圧を測るなどの注意事項も挙げられたが、州政府が、デング熱の流行のない地域の医師の応援を求めたことについては、実地の経験、知識の不足などの問題を指摘。これに対し、州政府は、キューバの退職医ら、デング熱に対処したことのある隣国の医師の派遣を求めることも検討しており、今週中に結論を出す予定でいる。
また、保健省による発表は三日付けエスタード紙に報じられたが、デング熱流行の恐れのある六七〇の自治体中、患者に対応できる病院や医師、検査機関がない自治体は地域によっては九割に達し、平均しても半数が無防備状態といえる。
リオ州の流行については一~二日だけで二三六三人の患者が新たに登録され、二日までに患者総数は五万七〇〇〇人を超えた。対応のため、保健所などは休日なしの二四時間体制での対応を命じられたほか、サンパウロ州も、三つの病院で二〇〇床をリオ州の患者のために提供すると共に、一〇万件の検査をサンパウロ州で受け付けることを決定。検体を受取リ、結果はインターネットで報告するという。
また、虫除けの薬の生産も一七〇%に増えたがまだ品不足の状態。リオ市では、診察を待つ患者のために水やビスケットのほか、虫除けの薬の無償提供も実施と決定、報告された。