ニッケイ新聞 2008年4月4日付け
仏政府は二日、仏陸軍特殊部隊がコロンビアのジャングルでFarc(コロンビア解放前線)と接触、幽閉中の人質イングリッド・ベッタンクルト氏とその他を解放するため潜行したことを明らかにした。
外交ルートでも、同氏の病死を避けるため最大の努力を図った。サルコジ仏大統領は現地からの報告をもとに、同氏がB型肝炎とリーシュマニア症(原虫が引き起こす病気)、マラリア、栄養失調におかされ重体であると発表した。
仏外務省がFarcと折衝し、人権保護の見地から必要な医療設備のある場所へ同氏を移動することで了解を得るために特殊部隊派遣を決定した。しかし、実際は一方的にFarcを要求に応じさせるらしい。
同氏がコロンビア国籍とフランス国籍を有するため、仏政府がFarcに同氏の治療とできれば解放を要請する考えであった。外交的に微妙な問題である。仏外務省は極秘裏にことを進め、詳細については一切を明かさない。
仏大統領は、ウリベ大統領へ医師を含む仏特殊部隊の派遣で了解を取り付け、付近一帯でコロンビア政府軍が軍事活動を展開しないよう要請した。コロンビアは十五年にわたる内戦状態で、三百五十万人が家を失い難民生活をしている。
国際赤十字は二日、人権的見地から同氏の解放に同行する用意があると声明を発表した。赤十字はFarcに、同氏と会わせるよう要請したが、反応がなかった。国際赤十字はこれまで、再々強行作戦に参加し、瀕死の人質を救援した経験があるという。