ニッケイ新聞 2008年4月4日付け
【神戸新聞】日本最初のブラジル移民出発から丸百年となる二十八日、神戸市は、旧神戸移住センター(神戸市中央区山本通三)の改修着工を宣言する式典を開く。
ブラジルなど中南米諸国に向かった移民約二十五万人が出国手続きをした同センターを五月から一年かけ改修。耐震補強し、往時の設備を再現する。来年五月には、移民が日本を離れる前の日々を追体験できる「移住ミュージアム」が誕生する。
国内に唯一残る移民事業の施設で、国立神戸移民収容所として一九二八年に開設された。七一年の閉鎖後は国が同市に移管し、看護学校や神戸海洋気象台仮庁舎に。その後は芸術団体や、ブラジル人の自助組織の活動拠点にもなった。
改修事業費は約九億六千万円。歴史を刻んだ同センターの「建物の記憶」をテーマに、移住先について、移民が学んだ教室や、寝泊まりした居室を再現する。資料も展示し、移民史を紹介する。
外壁はかつての黄色に戻す。屋上は開放し、移住前の人々が目にした風景を見てもらう。二棟ある別館のうち、一棟は傷みがひどいため、解体して有料駐車場にする。
多文化共生を図る活用もし、日系人を中心とする在住外国人の支援拠点や、各国の芸術家が交流する場にもなるという。(黒田勝俊記者)