ニッケイ新聞 2008年4月5日付け
「ねじれ国会」の怖さをまざまざと見せ付けられるような事態が続いている。衆議院は自民党が圧倒的に強く304議席を誇っているが、参議院は民主党が109議席で第一党である。この「ねじれ」現象で政治の流れがおかしくなっているのは―如何なものか。揮発油税などの暫定税率が参院で否決されガソリンが25円か安くなったけれども、道路工事などの予算2兆6千億円が無くなってしまった▼日銀総裁も政府が提出した案に民主党が参院で2回も否決し初めて空席という異常な状況である。もうすぐG7中銀総裁会議が開かれるのに「日銀の総裁がいない」では済まされまいに―。勿論、この国会同意人事にはいろいろと問題が多い。日銀だけではなく公正取引委員長、人事院人事官、会計検査院検査官も衆参の同意を取り付けることが義務付けられているが、今回のように参院で不同意となるとどう対処するかの規定がない▼そこで与野党は日銀総裁候補などの所信表明といった新しいル―ルを決めたけれども、まだ完全なものとは言い難い。それに、同意人事を先の海上自衛艦によるインド洋での給油活動のように衆議院の可決が優先される「再議決」には馴染まないだろうし、議員らの意見も多岐わたる▼実は橋本政権の参院選で自民が敗れた後の小渕内閣のときも「ねじれ」はあった。が、このときは旧自由党の小沢党首と会談し連立政権を樹立し、これに公明党も参加し安定した政治を展開することができた。だが―目下の政治状況で自民党と民主党の大連立は想像を超えるほどに難しく、この永田町の混迷は暫く続くのではないか―。 (遯)