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新天新地を求める移民=先進国から第3世代中心に=セアラ州などの海岸部好む

ニッケイ新聞 2008年4月8日付け

 その昔、戦前派の日本人と戦後派の日本人が上手くいかず、「新移民と交際するな」といった言葉も飛び交ったそうだが、近年、世界中で静かなブームとなっている新移民層がある。
 六日のエスタード紙によると、ブラジルでも海岸地域に移住して来る国外からの年金受給者が増えているという。かつては常夏の天国といえばフロリダやハワイをイメージしたものだったが、今や世界中で約二百の地域、ブラジルでは北東伯に人気が集まっているらしい。
 過去十年の傾向としては、東南アジアや中米に行く人が多かったヨーロッパ系新移民。その意味ではブラジルへの新移民は比較的新しいが、セアラ州ではこの三年の間に国外からの移住者は六〇%増え、大半が五十歳以上。北リオ・グランデ州でも、新築家屋の多くはヨーロッパから移住してくる年金受給者たちを狙ったものだという。
 先進国の年金受給者数は増加の一途で、二〇〇六年現在、米国、日本、韓国、台湾、中国の六十歳以上の人口は三億二千六百万人。この数は二〇一五年には四億二千五百万人に達すると見られている。
 ブラジルへの移住者は、言葉や文化の共通性からポルトガル人が多く、セアラ、バイア、北リオ・グランデの三州に集中。大半は旅行者との交流も持てるコンドミニオに住むといい、ポルトガルの年金受給者がリスボンのブラジル大使館に提出する移住許可申請数は日毎に増えているという。
 ブラジルが年金受給者の移住先候補となる最大の理由は生活費の安さ。年金で広い土地を買って、貧しい子供向けの学校を開きたいなど、同じ金額の年金を大きく活かそうと考える人たちがいる。マレーシアの家はブラジルの四倍、メキシコでも二倍はかかるという。
 また、ヨーロッパの人には、近距離で交通の便の良いことも魅力で、北東伯から欧州への飛行機の本数も増えている。
 さらに、自然災害の少なさ。最近はセアラ州で地震が起きたりもしたが、津波や地震といった災害が少ないことも気候の良さと合わせた魅力となっている。
 参考までに、タイでは年三千五百人、マレーシアでも年五千人にビザが発給され、バンコクには約五万人の日本人高齢者が住んでいる。フィリピンでも国外からの年金受給移住者は増加しており、二〇一五年に彼らが動かすであろう経済は五百六十億ドルに及ぶと見られている。コスタリカの場合も、海岸地域の家屋の八三%は国外からの移住者か旅行者の所有で、年四十億ドルを動かしている。
 ちなみにブラジルへの移住を希望する年金受給者は月額二千ドルが条件。フィリピンは八百ドルというから、ブラジルに来たくても来られない人もいるかもしれない。