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50万レ以上の公費流用=大学総長の退陣求める学生=ブラジリア総合大講内を占拠

ニッケイ新聞 2008年4月9日付け

 一九六九年に起きた東大の安田講堂事件は、今も日本の学生運動の語り草の一つだが、今回、ブラジリア総合大学(UnB)での公費流用問題などを巡り、総長退陣を求める学生による本部棟占拠が起きている。
 三日午後から始まった本部棟占拠は、三百人の学生による抗議行動に端を発したもの。棺桶を担いだ学生らによる構内の団体行進後、大学側が夜になったら話し合うと通達してきたことから、一部学生が本部棟に居座ることを決めた。
 最初に占拠されたのは本部棟にある総長室などで、初日は百人近くが本部棟で夜を明かした。
 学生たちの要求は、現総長のムリョランド氏と副総長のマンヤ氏の退陣、後任の選挙には学生も教授たちと同じ重さを持つ投票権を持って参加することなど。
 総長のムリョランド氏については、総長用アパートにと、研究・調査費として計上されていた経費から四十七万レアルを流用して、贅を尽くした高級家具や日用品(千レアルのゴミ箱など)を購入、車にも七万二千レアルを使用したことが明らかにされており、大学と関連した財団基金の公費流用として、コ―ポレートカードの議会調査委員会への召還も予想されている。
 UnBと関連財団の公費流用については、政府関係者のコーポレートカードによる公費乱用が摘発され始めた時期から取り上げられていたが、総長や関係者の辞任など、具体的な処分がされていないことが学生の退陣要求につながったといえる。司法当局は、占拠開始直後の四日に本部棟の即時明渡しを命じ、四日午後五時以降の占拠については、一時間につき五千レアルの罰金も言い渡されているが、学生側は、七日午後の総会で占拠継続とその拡大を決定。総長退陣要求が認められない限り明渡しはないとし、本部棟の五階まで占拠区域を拡大。途中、警備員との揉め合いも起こり、双方にけが人も出たが、構内の機材破損などの行為は無いとしている。
 これに対し大学側は、大学キャンパスの拡大などについては交渉に応じるが、総長退陣は交渉の枠外と明言。前総長で上院議員のブアルケ氏が、事態収拾のために総長休職を提案したことについても、ムリョランド氏は、提案を呑む意思はないと返答している。
 今回の抗議行動に直接参加している学生は千三百人とも発表されているが、大学の授業は平常通り行われている。また、連邦警察は、学生排除のための実力行使にこそ出ていないが、学生らの行動は違法なもので、罰金以外に、十五日から三年の実刑が適用されるとしている。