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食糧価格高騰で生活困窮=ハイチで抗議行動が暴動化=伯は14トンの食料支援決定

ニッケイ新聞 2008年4月10日付け

 八百五十万人の国民の八〇%が二米ドル(約三・四レアル)以下で生活しているハイチで、三日から始まった食糧価格高騰への抗議行動が暴動に発展。七日までに五人が死亡し、八日には国連安全保障理事会が緊急対策の必要を訴えた。
 三日に首都ポルト・プリンシピから百九十キロのレス・カジェス市で始まった貧困と物価高を訴える抗議行動は、四日に三人の死者が出たのを境に国内全域に拡大、暴動化している。
 五日のエスタード紙によると、四日の死者は、同市にある国連事務所のあるビルへの攻撃が加えられ、国連のハイチ駐留部隊が出動したことによるもの。
 六日のフォーリャ紙によると、抗議行動は犯罪者組織が加担し始めてから暴動化し、国連車両二台が焼かれたほか、道路封鎖や商店略奪など、日毎にエスカレート。少なくとも五人の死者も出ている。八日には大統領宮殿が包囲され、国連軍兵士が群集を押し返す事態にまで発展している。
 九日のフォーリャ紙は、群集の中には武装した者もいて、反政府勢力や犯罪者組織が扇動している可能性が強く、政治的な色合いを増しているという。また、七日のフォーリャ・オンラインでは、首都でのデモ行進で、「われわれは餓えている」、「物価を下げろ」と書いたプラカードが掲げられていたほか、大統領辞任や国連軍の撤退要求も出されたと報道。報道関係者への暴行もあったという。
 ここ数日の新聞報道によれば、ハイチは世界的な食糧価格の高騰の影響をもろに受けている国の一つで、米、穀物、果物、練乳などは昨年中に五〇%近く値上がりしたほか、マカロニなどは二倍になっている。
 さらに、過去数カ月の間に起きた洪水やサイクロンによる被害で国民の不満が高まっていたことも理由として挙げられており、品不足に加えての食糧価格の高騰が、大統領への辞任要求などにもつながっている。国民は現在国外亡命中の前大統領をもう一度大統領にと要求しているともいう。
 この国情不安と、ハイチ政府からの人道的な支援要請に対し、ブラジルは八日夜、フェイジョン六千九百五十キロ、砂糖四千五十キロ、油三千缶の計十四トンの食糧支援を決めたほか、国連農業機関にも呼びかけて世界規模でのハイチへの緊急食糧支援を図る予定。
 同国への国連平和部隊派遣は二〇〇四年の政権交代時に始まり、現在は七千人余りの兵士が駐留。うち千二百人がブラジルから派遣され、ブラジル士官が全体指揮をとっている。三月始めに、ブラジル軍人らの働きがハイチの平和を保証と報道されたりした後の出来事だった。