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IMF報告=高金利政策に警告=ブラジルは世界のネギカモ

ニッケイ新聞 2008年4月10日付け

 中央銀行が基本金利の引き上げを検討していることで国際通貨基金(IMF)は八日、米国の金融危機で途上国の虚弱体質が懸念されるからブラジルは他国との兼ね合いを考慮する必要があると発表した。
 ブラジルは現在のグローバルな経済情勢に対処できる体質を備えているが、過当評価されたレアル通貨の為替率是正をまえに高金利政策は一考を要するという。レアル通貨など一部の通貨は、高騰を続けている。不安定な通貨が限界に達するとき、高金利政策はパニックの連鎖反応を引き起すと警告した。
 レアル通貨の過当評価は、「ケリー・トレード」と呼ばれる取引が原因だとIMFはいう。低金利の日本やスイスで融資を受け、高金利のブラジルへ回し、金利差を儲ける取引である。この取引で投資家は、莫大な利益を得ている。
 今度は、日本やスイスに政策金利二・二五%の米国も加わる。基本金利一一・二五%のブラジルに持っていけば、笑いが止まらない。それにレアルの過当評価で、さらに儲かる。
 中央銀行は今月、基本金利を一一・五%に引き上げるという。年末には一一・七五%にするらしい。世界の金融業界で、同取引とレアル通貨が目だっている。ブラジルの通貨政策は、ドル安とレアル高の流れをつくった。この通貨政策は、輸出の減退と対外収支の悪化、産業の空洞化という副作用をもたらす。
 この種の資金は、朝投資し昼に回収する。ブラジルに不安定経済をもたらすだけで、何ら益することはないとIMFが警告した。米経済のパニックは長期にわたり、ブラジルへもコモディティの下落で影響を及ぼす。コモディティ輸出を得意とするブラジルは遠くない将来、貿易収支と経常収支で高金利政策のツケを払わされると警告。
 ブラジルは、米サブプライムの影響が軽微であった。しかし、米経済の低迷でクレジットの落ち込みはブラジルなど途上国で特に顕著だ。ブラジルの経済成長率は二〇〇八年、四・四%。二〇〇九年は三・六%で五・五%以下に留まると見ている。