ニッケイ新聞 2008年4月11日付け
三月のサンパウロ市南部を中心とした停電の記憶も新しいうちに、今度はサンパウロ市北部とガルーリョス市の二変電所で火事が起き、大サンパウロ市圏三十八万五千世帯、人数にして百四十万~百五十万人が停電に見舞われた。
十日付け伯字紙によると、最初に火事が起きたのはサンパウロ市北部のピリトゥーバ変電所で、九日十五時三十五分ごろ、四機ある変圧器の一機から漏れていた抵抗器冷却用の油に火がついた。近所では爆発音を二度聞いたという。
抵抗器冷却用の油は一機につき一万七千リットル入っているというが、発火点は一二〇度程度。火炎の高さは十五~二十メートルに及び、鎮火には一時間を要した。
この間、消火活動を安全に進めるためにと、約三十分間、付近一帯の電力供給が止められたため、サンパウロ市北部と西部、オザスコ市の一部の三十一万八千世帯、人数にして百二十万人が停電の被害にあった。また、サンパウロ市北部と中心部で少なくとも十二カ所の信号が機能を停止し、交通が混乱。十六~十八時にかけて十一・六キロの渋滞を招いた。そのほか、地下鉄一号線と二号線が一時間ほど減速運転を行ったが、こちらは混乱には至らなかった。
一方、ガルーリョス市の変電所の火事は、十五時五十分から十六時五分にかけての時間帯に発生しているが、こちらは市内二十地区が五時間半停電となり、六万七千世帯、人数にして二十万人が被害にあった。
事故の原因はまだ解明されていないが、一部の関係者はピリトゥーバ変電所の火災事故でガルーリョス変電所への送電が過重となった可能性を指摘。これに対し、ピリトゥーバとガルーリョスの配電はルートが違うため直接的な関係はなく、変圧器内の短絡による火災との見方もある。
どちらの火事も、今後の調査を待って原因が確定されるが、州政府関係者は、双方の変圧器は耐久年数を過ぎており、早急な交換を要すると指摘。鉱動省に対しても、新しい変電所の建設許可を求めるという。
これに対して電力会社側は、保守・点検作業をきちんと行っており、交換の必要は無いとしているが、関係者によると、ピリトゥーバ変電所では二、三年前にも同様の事故が起きており、会社側がいう保守・点検作業だけでは不十分な可能性がある。また、保守や部品交換よりも修理の方が安く済むといった発言もあったといい、安全対策上、根本的な認識不足があることもうかがわれる。