ニッケイ新聞 2008年4月11日付け
どうなる七夕祭り――。毎年七月頃にリベルダーデ広場を中心に行われ、非日系人も多く訪れるサンパウロ市の公式事業「サンパウロ仙台七夕祭り」。同祭りは今年で三十年の節目の年を迎える伝統ある行事であり、より一層の盛り上がりを見せる――と思われていた。ところが開催三カ月前にして、昨年に引き続き不協和音が流れ始めた。ACAL(リベルダーデ文化援護協会、池崎博文会長)と宮城県人会(中沢宏一会長)の両者の意見が真っ向から対立し、平行線を辿っている状況だ。
七夕祭りが始まった当時から一昨年前までは、七夕飾りの制作、竹の設置を主催の宮城県人会が、行政や出演者の交渉、宣伝・広報を協賛のACALが担当し、両団体から五人ずつで、実行委員会を組織し、開催の準備をしてきた。
しかし、昨年、実行委員会の席で宮城県人会側が独自に行うことを宣言し、ACALを協賛から外すことを計画。くわえて連邦文化省の寄付免税制度ルアネー法を申請し、認可を受けていたことも発覚した。
これに対してACALは、「Senday Tanabata Matsuri」など四つの名称がACALによって国立工業所有権院(INPI)に登録されており、名称の使用にはACALの許可が必要とする通告書を送付し、問題は平行線を辿っていた。
その後、中沢会長訪日中に両者の手打ちが行われ、結局は例年通り行われた経緯がある。
ACAL=返事がないから立ち上げた=登録は「一緒にやりたいから」
ところが、九日午後五時から、サンパウロ市の池崎商会の事務所内で記者会見が行われ、実行委員長の中野ジョルジACAL企画理事、網野弥太郎評議員会長、宮村誠第一副会長、福井ニルトン第三副会長、佐藤八朗氏らが出席した。
ACALは、七夕祭りを一月中旬にブラジル日本移民百周年事業に申請し、記念事業として認められた。それを受けて、二月頃に宮城県人会に対して「七夕祭りのための会合」を呼びかけた。約一カ月間待っても返事が返ってこなかったため、三月にACAL独自で委員会を発足させ、「第三十回百周年記念七夕祭り」として準備を開始したことを記者会見で明らかにした。
その中で、七夕祭りの名称を国立工業所有権院(INPI)に登録している理由に関して、「宮城が独自でやるのを止めるための手段」と説明した。
最後に、中野実行委員長は「今からでも宮城の方から『一緒にやりたい』と言えば一緒に行う気はある。特に今年は百周年だから」とのべたが、「ただし、ACAL主導ならば」との条件を付け加えた。
宮城県人会=「連絡取れない」はこっち=商標登録はまず外すべき
一方、宮城県人会の中沢会長は十日に来社し、次のように反論をのべた。
二月頃に会合を行わなかった理由としては、「七夕祭りを百周年事業に組み入れる必要はないから話し合いをする必要はない」と説明し、最初から話し合いをする意思すらなかったことを強調した。
「毎年恒例で、市の公式行事にもなっている七夕祭りを、なぜ今さら百周年事業に入れるのか分からない」と首を傾げた。
宮城県人会側の鈴木運蔵実行委員長が、ACAL側の中野実行委員長に対して会合を持とうと連絡しているが、「一度の電話連絡のみで、以降連絡が取れない状況」とし、連絡が取れないのはこっちの方だとばかりに抗弁する。
ACALが七夕を商標登録したことについて、「国際問題に発展するかもしれない」と語り、「七夕や仙台の名前を登録するのなら、日本から許可を取らなければならないはず。今年は仙台商工会議所の会頭も来るから問題にならないようにしたい」と語った。「現在商標登録から外すように抗議している」と状況を説明した。
最後に「今年も例年通りに行いたい。今まで行ってきたのを続けることだけだから」と共同で行うことを望んだ。