ニッケイ新聞 2008年4月16日付け
国家石油庁(ANP)は十四日、ポン・デ・アスーカル鉱床でツッピー大油田の五倍とされる過去最大の大油田発見の可能性があることを明かしたと十五日付けエスタード紙が報じた。未確認であるが、埋蔵量は三百三十億バレル。同油田は、ペトロブラス(四五%)英系BG(三〇%)西系Repsol(二五%)の共同出資で試掘していた。そのためペトロブラス株は十四日、七・六八%急騰した。
予想が確認されれば、世界で第三番目の大油田となる。サンパウロ市証券市場は十四日、流通量の半分がペトロブラスへ集中し普通株が一〇・八%高、優先株が七・六八%高で閉めた。大油田発見の報は、ブラジルにとって過去三十年で最大のニュースといえそうだ。
世界の主な油田は、最大がサウジアラビアのGhawar油田で埋蔵量七百五十億バレル。続いて、クエイートのBurgan油田で埋蔵量六百六十億バレル。次が、ブラジルのポン・デ・アスーカル油田で三百三十億バレル。これまでの合計は、ツッピーも含め五百二十一億バレル。
ロウセフ官房長官はツッピー油田が発見されたとき、ブラジルが産油国入りをしたことで新しい時代の幕開けと位置付けした。それに続く朗報は、ブラジルの揺るがぬ地位を築いた。国庫は小切手税を失ったが、それの四倍の収入が国庫を潤しそうだ。
ロボン鉱動相は、ANPにこれからの石油政策で慎重さと責任を求めた。ANPの非公式発表は、FGV(バルガス財団)のゼミで口をすべらしたもの。ツッピーやポン・デ・アスーカル油田周辺についての情報公開は、先ず確認し発表の方法について政府の関係機関へ前もってお伺いを立てるよう訓戒した。
証券委員会(CVM)は、取引開始後の非公式発表に抗議した。CVMはブラジルの資本市場を司る立場から、ペトロブラスが一部投資家へ情報漏洩したことで訴えるらしい。
下院でも、ANPによる「大油田発見」の報を、それがもたらす影響と対策も考えない軽率な公表と指摘した。上院では、石油の国家管理基準で討議を求めた。ツッピーやジュピター、カリオッカ、ポン・デ・アスーカルなど次々油田が発見され、現行の石油法は、前時代のものになったという。