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食品高騰は時限爆弾=補助金制度が全てを狂わす

ニッケイ新聞 2008年4月17日付け

 ドーハ・ラウンドは食品高騰を巡って、食糧輸入国と輸出国の間で新たなジレンマを引き起こしている。食糧輸入国は、補助金制度の継続により農業生産者を保護する必要があると主張。農産物の市場開放を主張してきたブラジルにとって、新たなトゲが刺さったような感じである。
 世界貿易機関(WTO)は、国際情勢が市場開放を既成事実としているのに、前時代的感覚で足踏みをしていると補助金制度に断を下すよう求めた。食糧問題は、世界が前向きに取り組むべきこととした。生産性の向上も改善意欲もない生産者を補助金で保護するのは、失政のツケという。
 EUは小麦の市場開放を行い、安い小麦の輸入に踏み切った。しかし、貧しい途上国は生産者に補助金供与もできないし、生産コストの削減も輸入品との競争もできないという。食糧を輸入する先進国の助けで、生産者保護協定を結ぶしかないと訴える。
 ブラジルでは最低賃金三カ月以下の低所得階級が、生活費の四〇%を食費につぎ込む。食糧高騰の犠牲になるのは、国民の二七%と見られる低所得階級らしい。セスタ・バジカ(生活必需品バスケット)は、農産物コモディティの動向次第といえる。
 食糧輸入国とブラジルの台所は、少し事情が異なる。ブラジルの生産者は、一部を除いて補助金という言葉さえ知らない。食糧高騰といっても、影響を受けるのは二七%のようだ。食糧輸入国は補助金制度を廃止すると、国家の屋台骨まで揺らぐ切実な問題だ。