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基本金利=0・5%引き上げで市場困惑=インフレは嵐の前=業界は価格上昇にシフト=通貨政策で世界に逆行する

ニッケイ新聞 2008年4月18日付け

 中央銀行の通貨委員会(Copom)は十七日、基本金利を一挙に〇・五%引き上げ、一一・七五%としたことで市場を驚かせた。中銀は二〇〇七年末以来、インフレが着実に進行したことを懸念していた。今回の金利引上げは、結果として経済全体の混乱をもたらすインフレ・リスクを抑制するためと説明した。調整率が予想を上回ったことで、Fiesp(サンパウロ州工連)や労働組合は一斉に中銀を批判した。
 基本金利を〇・五%も引き上げた中銀は、二〇〇六年のオリンピック・マラソンで金メダルを貰い損ねたヴァンデルレイ・デ・リーマ選手のようだと、財界は中銀を皮肉った。
 通貨委員会は、市場の潜在インフレ圧力を嵐の前の静けさと見て重視した。引き上げを〇・二五%とするなら、効果は短期間にしか及ばない。年末を一二・七五%で終えるには、〇・五%引き上げが妥当と見たようだ。
 インフレは昨年末、火がついた。今年に入って輸入を緩めたが、インフレを抑えるに至らず一カ月が過ぎた。それで中銀は、薬の量をいつもの倍盛ったようだ。中銀決定は、会議の終盤で決まったらしく市場への配慮を欠いた。
 先週は全般に、価格の再調整が行われた。中銀は毎週、金融機関とメーカー、コンサルタントからデータを収集する。市場は既にインフレ四・八%をベースにし、五%になるのも時間の問題と判断した。
 中銀は、インフレの主導権を市場に委ねてはならないと理解したようだ。短期間にインフレを五%以下へ抑えるための施策と思われる。今年は選挙のために景気対策や消費過熱が演出されるから、インフレ抑制は火急を要する。
 産業界や労組からの不評は覚悟の上で、化学療法を施したようだ。今回のインフレは原因が国内だけでなく、農産物コモディティなど外部の影響もある。中銀にもシカゴ穀物市場までは、手が及ばない。
 今回の基本金利決定は、内外の金利差を拡大し、大量の外貨流入とレアル通貨の高騰を招く。中銀はまた、ドル購入に奔走する。この動きは、国際金融市場でブラジルだけがコントラモン〈逆行コース〉を走っているので目立つ。